空気人形

是枝監督の新作ということで注目していた作品。鑑賞した人から直接きいた感想や、ネット上での評価、どれも高評価のものが続いている。いやがおうにも勝手に期待が高まってしまう。


とても静かで、そして日常の美しさを思わせる東京の河川沿いの風景。板尾が演じる男性が職場からひとりで帰宅している姿。コンビニに立ち寄り買い物をし、夜道をぶらぶらと歩きながら自宅に戻る。玄関を通過し、何やらつぶやきながら部屋の奥へと入っていく。部屋の中の映像にそこにはベッドに横たわる「のぞみ」という名のラブドールに向かってやさしく話しかけている。

物語は、おもしろおかしくもある、そんな優しい風景からはじまった。


ある日、「のぞみ」は心を持つ。主人が仕事に出ている時間帯だけ、部屋の外で生活しはじめる。ものごころついたばかりの子供のように、何も知らない、そして何事を知るのにも興味深々なのぞみ。いつのまにかはじめていたバイト先で、同僚にひとつひとつ教えてもらう。映画のこと・海のこと・たんぽぽのこと。愛らしく、純粋で穢れを感じさせない表情。爛々と輝く眼差しを向けられたら、笑顔でやさしく教えずにはいられない。(いい意味で)バカな子ほどかわいいものだ。

のぞみが幼い子供だったら、幸せでいっぱいな気持ちで観ることができた。でも、のぞみの本来の姿は、性欲処理の代用品だ。これほどまでに人を惹きつける魅力をもっているのに、純粋無垢とは対極的な役割を担っている…。
肌の質感、影の濃さに。映像から「わずかながらの『人』との違い」に気づかされるたび、観ていて心を曇らせ、胸を締め付ける。悲しみが、そこはかとなくつきまとう。



僕が中学一年生のとき、両親が離婚した。当時、友達たちにはそのことを話していなかった。恥ずかしかったのか、みっともなかったのか、面倒だったのか。理由ははっきりおぼえていない。ただ、言いたくないと思っていたことはおぼえている。

大学生になってしばらくした頃、同じような境遇にある同級生がいることを知った。ふっ、と肩が軽くなった。変に気を使わずに話せることが、わかりあえることがうれしかった。

今年の夏、あるセミナーで出会った大学生の青年と話す機会があった。話し込むうちに、彼が僕と似たような境遇であることを知った。そのときの彼の言葉には、まだ少しばかり絞り出すような力みが感じられた。
僕は、いくらか緊張しながらも、離婚した両親に対する気持ちについて素直に語り伝えてみた。話し終わる頃、お互いに視線高く向き合っていた。「なんか、歩きたいなぁ」、そんな心の軽さを感じた。




のぞみは、商品として生み出された。手作りされるパーツは多いとはいえ、自分とほとんど同じ品物が他にもある。性欲処理のための代用品には、それ自体の「替え」が存在する。世の中のことをおぼえ始めたばかりの無知さ加減でも、そのことの「現実」は、悲しいほどに理解できてしまう…。


無知であることは、純粋さ・無垢さを感じさせる魅力がある。と同時に、望んでいることとは間逆の結果を招いてしまうような愚行を犯してしまう可能性でもある。しかも、そのことに本人が自覚することも気づくこともないままに。取り返しのつかない事態に至ってもなお…。


今もふと、僕の頭をよぎることがある。身近にいた一人の友達が、数秒の会話を経ただけで、他人になってしまった。今も会いたくないと思われているかもしれないし、実際にもう会うことがないかもしれない。そのことに対して後悔はある。そして、それ以上に疑問がめぐり続けている。決して自分では答えを出すことができない疑問。思考が停滞する。過ぎ去ったことは、ぬぐい去ることもできない。

抗うか、受け入れるか。どうすればいいか、まだしばらく考え続けることになると思う。



映画を観終わったとき思った。のぞみは、人生をまっとうできたのだ。この解釈が適切かどうかは、とても微妙なのだけれど。でも、のぞみは、のぞみとして生きた。そう信じたい。



映画を観賞していて、とても印象に残ったことがあった。

この物語には、映画の前半から警察官が登場する。僕は、この役を演じている役者の名前が思い出せなかった。顔は間違いなく見たことがあるし、出演作品をいくつも挙げることもできた。でも、名前が出てこない。「あ…い…う…え…」と順を追っても、「…わ…を…ん」までいってもわからなかった。その後、1時間以上も頭の片隅で思い出そうとしながら映画を観ていた。

エンディングで、交番で水やりをしている警察官が映る。他の登場人物たちの場面から順々に切り替わりながら、警察官に登場の出番がまわってきた。その瞬間、名前を思い出した。頭の引き出しとスクリーンにいる人物とが、つながった。この映画を味わう幸せを手にした気分になった。



R15+だけあって、「テーマ、アイテム、演出」、いずれにもエロスがちりばめられています。しかも、ペ・ドゥナの美しさが、それをさらに引き立てています。
ただ、そうした際どさ以上に、作品には「今、この時代、この世の中、この社会を生きる」ことへのメッセージが詰まっている。しかも、そのための描き方に魂が込められている。「伝える」ではなく「伝わる」ための工夫に圧倒されました。

映画を鑑賞し終わったとき、ほとんど姿勢を動かしていなかったことに気づきました。じっと見続けたい。そう思わせる魅力にあふれた作品だと思います。
僕個人としては、今年の邦画ではイチオシです。

ゴーダ哲学堂空気人形 (ビッグコミックススペシャル)

ゴーダ哲学堂空気人形 (ビッグコミックススペシャル)

空気人形 O.S.T.

空気人形 O.S.T.

サマーウォーズ

サマーウォーズ (角川文庫)

サマーウォーズ (角川文庫)


期待以上によい作品。僕の持っている「夏休みに鑑賞する映画のイメージ」にとてもぴったりとくるもので、とても心地のよい鑑賞感が得られる映画だった。


子供の頃、長期休みにはいると映画を観にいった。東映まんが祭りとかにはあまりいかず、洋画を観ることの方が多かったような気がする。妙に記憶に残っているのは、グレムリンとかオーバーザトップとか。あぁ、懐かしい…。

当時小学生だった僕は、親の仕事終わりの時間にあわせて自宅を出発した。子供一人で電車を乗り継いで銀座にいき、駅付近の映画館で集合。映画が始まる前は、デパートで買ってもらってあった「普段食べるものよりも、ちょっと高級なサンドウィッチ」を食べるのがお気に入りだった。


映画を見終わったあとは、いつもドキドキしていた。直前まで大画面スクリーンと大音響の中で鑑賞していた映画の世界観に、どっぷりとはまり込んでいた。登場人物たちの一挙手一投足や喜怒哀楽の様子に、自分がその場に居合わせているような気持を味わった。しかも、ほとんどは現実にはあり得ないようなこと。それがまた想像(妄想?)を心弾ませるものにしていた。


サマーウォーズを観ていて、そうした「登場人物たちとの共感」や「非日常・非現実への憧憬、想像(妄想)」が湧きあがった。話の展開は想像通りなのに、それでもなお、心が動かされる。登場人物たちの心情が手に取るように分かり、自分自身の感情と同化していく。読み通りに物語が展開するたびに、スカッとするような快感、息を大きく吸い込めないほど胸が締めつけられるような悲しみ、なんとかしたいという思いに心を通じ合わせていく感謝と感動、しんしんと余韻をもって心に響く。


いい映画は、心のバランスを変える。サマーウォーズもそういう作品。観たら、きっと「世の中に役に立つ何かをしよう」という思いが「ふっ」と湧きあがる。それはおそらく、登場人物たちが、「みんなのためという思いを持っている」のと「心も力も弱さがある」ことからきているのだと思う。そして、それらと同時に、「何かの役に立とうと思い願い、実際に役立てるスペシャリティを見つけてチカラを貸すことができたから」ということも大きい。
「登場人物たちが特別だからできた」のではなく、「特別なことを成し遂げるために、誰もが何かしら協力することができる」と、自然に思えるようにメッセージが伝えられているからなんじゃないかと思う。


思い残しや迷い、そうした心に雲がかかっているような気分の時、この映画を鑑賞することでずいぶんとすっきりすると思います。もちろん、元気で幸せな人も、鑑賞することでより一層良い状態を高めることもできるはず(^_^

鑑賞感のとてもよい映画でした。この夏、おすすめの一本です。

キングオブコント 2009 感想

さきほど、大会が終了した。予想の精度は「半々」といったところでしょうか・・・(^_^;


で、早速。まずは基本的な部分のおさらい。

【全般的なルール】
 ・全組2本での審査
 ・セミファイなりストの芸人が審査するという形態は同じ
 ・4分で強制終了
 ・1人10点

全部2本の総合というのは、微妙。取り戻せるというチャンスにも取れるが、全員が2本やるというのは、ちょっと緊張感が持たない気がするが。とはいえ、昨年の「決勝は決勝出場者による投票」に比べるとはるかに改善されていると思う。
4分で強制終了というのは、わかりやすくて良いと思う。守らなかったもん勝ちにならないし。
1人10点になったのは、審査に意味のある差がでだしやすくなってよいと思う。


【内容】
(左が自分の採点。カッコ内が正規の採点。出場順に並べている)

(1)1本目
? 東京03       800(835) コンビニ店員のリアクション。面白かったけど、もうひと展開欲しかった。
? ジャルジャル     760(734) すし屋のしりとり。若年層向けのネタ。ジャルジャル的ないやらしさが活かされてなかった
? モンスターエンジン  810(771) 競馬の実況。杖で撃ったり、実況での味のある間は絶妙。ただ、オチがそれまでの流れに比べると軽かったのが惜しい。
? ロッチ        770(807) 取調べでカツどんの注文。観たことあるやつだったこともあってか、ちょっと印象が弱くなったかも。
? 天竺鼠        740(723) 食堂での荒々しいやりとり。不条理な世界観はわかるのだけれど、みていてもうひとつ入り込めなかった。
? しずる        785(820) 冥土の土産。面白いのだけれど、以前ライブで観たことがあった分、自分の点数は辛め。
? サンドウィッチマン  800(878) ファーストフード。これも前に観たことあるけど、それでも笑えた。ネタがうまいし演技がうまいのがいい。落ちの「ホ・タ・テ」、さすが!
? インパルス      770(767) 墓参り。キャラクターと途中までの展開は面白かったけれど、追い掛け回すの次まで入れて欲しかった。


※点数を入れているうちに、審査委員の感覚と調整をあわせていった感じあり。

(2)2本目
? 天竺鼠        730(829) コンビに強盗の老人。ゴールデンの生放送で、4分で、賞レースで、いずれにも合わないネタ。ライブで長時間演じるんじゃないと難しいと思うが、どうだろう?
? ジャルジャル     770(805) 野球部。これも以前に見たことがあったので、ちょっと点数がつけにくかった(後半の構成が少し違っていたが)。あのオチは驚いたけれども、4分にまとめるための策という感じもした。
? インパルス      820(868) 警察官。面白かった。別々のシチュエーションと設定を乗せて構成したネタはなくはないけど、このうまくできていた。ゴールデンの時間帯にこういう大会で仕掛けてきた勇気(?)も評価。
? モンスターエンジン  750(855) 落ち武者の守護霊。単独ライブ用のネタという印象。モンスターエンジンっぽいのだけれど、ここでやるのはもったいなかった。
? ロッチ        760(804) バイトの採用。店長と店員のいい感じの適当さがうまくロッチらしさと合致していた。ただ、4分だとちょっと短いか…?
? しずる        800(831) 卓球。彼女をとられてのやり取りはオーソドックスだったのに、後半の盛り上げが秀逸。つい高い点数が入れたくなってしまうネタ。うまいし、面白かった。
? 東京03       800(953)同級生と旅行。テンションがいい! ハーモニカ反則とも思ったが(笑)、最後のオチの流れのうまさも素晴らしい。
? サンドウィッチマン  760(865) 散髪。観ていて、もう一歩ひきこまれなかった。サンドウィッチマンの「くすぐり続けられるような面白さ」が活きたネタとはちょっと違っていたような気がする。



【最終結果】
(左が自分の採点。カッコ内が正規の採点。カッコ内点数の順に並べている)

・東京03      1600(1788)
サンドウィッチマン 1560(1743)
・しずる       1585(1651)
・インパルス     1590(1635)
モンスターエンジン 1560(1626)
・ロッチ       1530(1611)
天竺鼠       1470(1553)
ジャルジャル    1530(1539)


【感想】

面白かった。一視聴者と出場芸人とは審査に差があるというのもあらためて実感しつつ、それはそれとして大きな隔たりと感じるほど感覚の違いがあるものでもないとも思った。

ただ、前半の点数に比べると、後半の点数は番組進行に合わせた調整が入っていたかのような印象だった。点数基準が明らかに変わったように思う。構成上の指示(演出?)なのか、芸人がそれぞれ(空気を読んで)判断したことなのかはわからないけど。点数が拮抗する流れは盛り上げることに一役買うこともあるけど、点数に明らかな違和感があるときには逆効果になるものだ。今回、いちばん残念に思ったところだった。

あと、DNA。優遇されすぎ(笑)


【その他印象に残ったこと】
各審査委員の投票内容は公表したほうがいい。公表されると点数が入れにくくなるというの(点数がゆがむ)というのもわかるのだけれど、オープンじゃないからゆがんだ内容を入れやすくなるという面もあると思う。
審査内容がオープンにできないのは、基本的に「審査」という役割にあっていないと思う。オープンにしにくいのであれば、審査委員の体制を変えるべき。

それと、ダウンタウンが幾度にもわたって指摘していたように、TBSの進行はうまくない。時間が押してるかどうかといった指示は司会の二人が感じていたとおりなのだろうし、中盤で前半を振り返るところも鑑賞している側のテンポがくずれるものだった。せっかくルールは良い方向に進んでいるのに、進行で相殺してしまったのはもったいない。

あと、どうもM1やR1に比べると「緊張感」と並行して「緩み感」も感じられた、演者の緊張感は高いのだろうから、観客・視聴者側にも同じ感覚を味あわせるくらいの演出のほうが盛り上がったように思った。


【まとめ】

なんにしても、東京03の優勝は納得のいくもの。実力・実績の割りに、賞での評価があまりなかったので、今回の優勝は芸人活動を通じての成果として見合うものだったと思う。

サンドウィッチマンは惜しかった。2本目も1本目と同じくらいのものだったら、優勝していてもおかしくなかった。

しずるは、事前に想像していた以上だった。彼らの「人間観」でつくられたネタの面白さが、世の中に広まる良い器械になっていたと思う。

インパルスもよかった。1本目が惜しかっただけに、もったいなかった。個人的には、警察官のコントがいちばん面白かった(^_^

モンスターエンジンも惜しかった。こちらは2本目。競馬のネタで見せた「キャラクターのイタさ加減」は本当に面白い。また観たい。

ロッチは、よかったんだけど、この大会と他の参加者との組み合わせに縁がなかったのかもしれない。独特の「力の抜けた間合い」は、観ていて脱力してしまう笑いを味わえる貴重なコンビだと思う。

天竺鼠は、自分たちの面白いことにこだわりがあるのが伝わってきた、ただ、今はこの大会とは合っていないのが、この2回の大会の結果なのだと思う。わが道を行くか、優勝を狙うか、選択のタイミングなのかもしれない。

ジャルジャルは、「大会用に選び抜いたネタ」をもってきたのが裏目にでたのかもしれない。彼らのもっとバカバカしさを感じさせながら爆笑させるネタで勝負していたら、結果はちがっていたようにも思った。


ただ、いずれの出場者たちも、難関の予選を勝ち抜いてきた猛者ばかり。それを証明した大会となっていたと思う。と同時に、予選で敗退した面々の力量も知らしめる役割を果たしていたのだとも思う。

テレビでコント番組が激減している昨今、この大会を通じて、あらためてコントの素晴らしさが理解浸透していったらいいなぁ、と心から思った。

一過性のブームで終わらず、ぜひとも「多くのテレビ番組に影響する」くらいの発展を遂げていって欲しいと期待している(^_^

キングオブコント2009 事前予想

今年も開催されるらしい。大会前に予想でも書いておこうと思っていたのだけれど、気がついたら前日になってしまった。

大会の運営ルールが昨年からどれくらい継続・変更されているのかよくわからないので、まずは率直な感覚で予想してみようかと。


【出演者】
? 東京03
? ジャルジャル
? モンスターエンジン
? ロッチ
? 天竺鼠
? しずる
? サンドウィッチマン
? インパルス


昨年とはかなり入れ替わった。唯一の連続出場が天竺鼠というのは、ちょっと意外。顔ぶれからすると、テレビへの露出量が影響している面は否めないと思う。とはいえ、実力がある面々が揃ったとも思う。
いちばん意外だったのは、サンドウィッチマン。漫才しか見たことが無いので、どういうネタをやっていたのかなぁ、と。漫才のスタイル自体がコントを組み込んだタイプなので、クオリティは決勝に見合うレベルだったのだろうというのは理解できる。



で、早速、順位予想。昨年みたいにブロック分けされるのかもしれないけど、今はどう分かれるのかわからないので、ひとまず総得点ベースで予想。

【出演者】(上の方ほど高得点を予想)
? サンドウィッチマン
? インパルス
? ジャルジャル
? 東京03
? ロッチ
? モンスターエンジン
? しずる
? 天竺鼠


昨年の様子も踏まえて、総合力重視になると見た。経験・実績が豊富な方が、とびぬけた発想のネタがあることよりも有利な気がする。そうすると、ネタも実力も安定感のあるサンドウィッチマンとインパルスが良いきがする。特に、賞レースでの経験を持って、かつコントでの実力もあることを考えると、頭が抜けている気がする。

ジャルジャルは若手の中ではいちばん可能性が高そうな気がする。シュールなんだけどベタなことを組み合わせたネタがつくれるような印象がある。演技もうまい(というか、彼らのネタにマッチする演技ができる)。こういう大会に向いていると思う。

東京03は優勝戦線に絡むようにも思った。ただ、ちょっとマニア向けな印象がぬぐえなかった。お笑い好きにとってはすごく評価が高いのだけれど…、という感覚。昨年のバッファロー吾郎も似たような位置づけなので、可能性はある。
あとは、審査方法しだい(特に昨年と同じ場合、事務所の影響と思わせる結果になってしまいそうな懸念が残る)。

ロッチ・モンスターエンジン・しずるは、今回の大会には合わないかなぁ、と思った。それぞれスタイルに特徴がはっきりしていて、ネタの面白さは素晴らしい割に、点数が入りにくそうな気がする(好みが分かれる分だけ分散する)。
あとは、若手という立場が、芸人同士での審査でどれくらい稼げるのかにどう影響するか。※これはジャルジャルも同じ。

天竺鼠は、昨年と違うタイプのネタになっていたら、評価はかなり変わる。今年はまだネタをみていないので、昨年と同じ系統かなぁと想定した。前回と同じだと、今回も厳しいと思う。




と書いてみたけれど、今回の大会は、ここ最近みたいろんな大会の中で、いちばん予想しづらい。実力・勢いが拮抗しているし、審査方法が不明確(昨年の審査形式は、重要視されるポイントがよくわからなかった)。

いずれにしても、昨年以上に面白いものを期待しています(^_^

東大×ハーバードの岩瀬式!加速勉強法

東大×ハーバードの岩瀬式!加速勉強法

東大×ハーバードの岩瀬式!加速勉強法


僕は勉強が苦手だ。学歴や成績がすこぶる悪かったわけではないのだけれど、勉強の仕方が下手。社会人になってからは特にそのことが身にしみることが多く、試験も仕事もうまくいかなかった記憶がいくつも思い浮かぶ。

理解力や記憶力は、自分で言うのもなんだが、どちらかというと良い方だと思う。実際に勉強をはじめても、最初は順調に進む。ただ、全体をひとおおり眺めたときの押さえ方にものすごいムラができる。これを解消するのがとても苦手。特に資格試験の勉強のような「決まっていることを正確に理解・記憶する」というのは、かなりストレスを感じてしまうのだ。

こうした状態は、自分の取り組み方に問題があると思っていた。勉強法にまつわる書籍を読むたびに。


ところが、この書籍を読んで、感覚が変わった。本書で紹介されている「スローイン・ファーストアウト」という考え方は、僕が自然にやってきていたことと近い(少なくとも、これまでに学んだ勉強法と比べると)。もちろん、著者の岩瀬さんとの経歴の違いを冷静に考えると、まったく同じではないのだけれど…(^_^;

とはいえ
「今までの取り組み方をベースに、うまくできていなかった部分を修正すればよさそう」
という感覚を持つことができた。これは、ものすごく大きい。



以下、感想のまとめです。長くなりすぎてしまいましたが、個人的な備忘メモの役割を含めているので、ご容赦願いますm(_ _)m


●第1章 全体を眺めて構造を見切る
 僕の傾向と近い内容。そんな中でも「これは」と思ったのは

・相手が求めていることを「見切る」

 勉強をしていると、どうしても「自分の趣味」に走ってしまうことがある(これは、仕事でもありがち)。これ、やっているときは楽しいのだけど、あとになって「ぜんぜん進んでいない」とか「対象がすごい増えた」とか、ハードルが高くなってしまう印象につながりやすいのだ。
 しかも、意外と「誰かのためのアウトプットとして必要とされない」ことが多い。特に、学習の最初の段階でそこまで手を出すことが誰かに役に立つというケースは、ほとんどないと思う。

 楽しんで取り組めることは大切なのだけれど、学習タイミングに応じて「必要レベル」を見極めることが重要。これは、仕事の進め方にも応用が利くし、自分の傾向に即効果がでるものだと思った。


●第2章 実践を通して肌感覚を身につける。
 この章も、僕の傾向と近い内容。最近、別のblogで「細部は神に宿る」というテーマのエントリーを書いたばかりで、内容が重なっているという偶然にも驚いたり。

 岩瀬さんの実体験(手袋メーカーのコンサルティング)エピソードを踏まえての

・実践せずに評論ばかりしていては何の価値も生み出さないのです

という言葉が印象に残った。いろんなところで見聞きする言葉なのだけど、腹落ち感が「いい感じ」だった。

 あと、興味深かったのが

・デキる人の長所や取り入れたい特長のエッセンス(本質)を抽出し、徹底的に反復して身体に擦り込む

 僕は(おそらく岩瀬さんほどは)モノマネをしたがらないタイプなのだけれど、それでも真似た経験はある。特に、文章の書きっぷりについては、社会人になってから明確にお手本をもって書くようになった。同じ文章を何度も何度も読み返し、書き写し、自分が文章を書くときもパクリに近いようなトーンで書いたこともあった。結果的に、それ以前と比べると、ましな文章が書けるようになったという実感は持っている。

 最近、新たに出会った人や局面を経験して、課題と感じていたことがいくつかある。ちょうど、まずは「モノマネ」によって改善していけそうなものなので、早速取り組んでみる(^_^




●第3章 対象から離れて助走をとる。
 この章も僕の感覚と近かった。ただ、この章に書かれていたことは、僕が「勉強がうまくない」と思っていた大きな要因のひとつだった。勉強をはじめて「いったん間をおく」というのは、余計な時間がかかったり、逃げの印象にもつながる。そうした考え方をする勉強法も多く、僕が自分の取り組み方に疑問をもった要因でもあった。

でも、この章を読むことで、「あ、間違ってはいなかったんだ」と、(ある意味)自分を肯定できる感覚を持つことができた。

 ここで印象的だったのは、岩瀬さんがHBSのクラスで発言するために取り組んでいたこと。

 ・時間をかけて予習をすること
 ・いかに面白い視点で発言するか

 僕もどちらも意識している(といっても、できないこともとても多い…)。

特に予習については興味深かった。「時間をかけない=勉強ができる」みたいな先入観があったので。「予習時間をあまりかけなくてもできる」を目指す姿にしなくてもいい。そう思えたことで、学習に取り組む気持ちが少し軽くなった。



●第4章 一点突破で強みを活かす
 この章は、僕が取り組めていなかったいちばんのポイントだ。

全方位に優れた状態を目指すことは難しく、かつ必要性が薄くなっていることは理解しているつもり。一方で、そうした状態になりたがってしまうことと、そういう人を求める人が多いという実感もあった。この折り合いがつかず、なかなか一点に集中する覚悟を決められないことが多かった。

 ・アウトプットについて考えるときは、まず自分の強みを生かすことを考えるべき
 ・自分ができそうなところ、活躍の場がありそうなところを探して、そこに全力を注ぐ

 この本を読んで、まず最初に取り組んでいるのが、この章に書かれていたこと。それは自分の「強み」と「キャラ」を振り返るということ。もともと、似たようなことをやっていたこともあって、いくつか挙げることはできる。ただ、これを言葉にするというのがなかなか難しい。本書にも書かれているのだけれど、エイヤッと言葉にしてしまうと、大事なニュアンスが削り落され得しまうのだ。ここは、もっと時間をかけて取り組む。


 あと、

 ・簡単な作業などはすぐやってしまいましょう
 ・与えられた仕事はいきなり着手する。ためらってはいけません。

 岩瀬さん自身のエピソード(HBSの同窓生から「(とある講義の)準備メモをもらえないか?」というメールの依頼があったとき、10分後に対応して、まわりの同窓生からも驚かれたという)もあって、スピードをもって全力でやるという意識を改めて高めることができた。


●第5章 「借りる力」を身につける
 僕がいちばん苦手なのが、この章に書かれていたことだった。「わかっちゃいるけど…」というもの。「自分で解決したい」とか「人に聞きに行くからには最低限のことはクリアしておく」といった感覚から、フットワークが鈍る。いろんな情報に触れるたびに、「それは良くないこと」と諭されるようなことが多く、苦手意識が強まることが続いていた。

 ただ、この章は、そうした教訓感覚よりも、感心することの方が多かった。

 まず面白かったのは、BCGでのルール。

 ・新しいプロジェクトが始まったら、まず全社に一斉メールを出す
 ・30分考えて答えが出てこなかったら、誰かに議論をふっかけろ

 どちらも、自分の感覚から比べると立ち上がりがかなり早い。とはいえ、壁を感じたというよりは、「これを基準に動くことにしてみるか」という切り替えにつながった。


 もうひとつ印象に残っているのは、人の力を借りるための基本。

 ・当たり前の話ですが「自分ができること」について他人の力を借りてはいけません。「もうダメだ…」というところまで精いっぱいやって、どうしてもできないところだけ、他人の力を借りる。これは重要です。

 僕が意識していたことと大きな差はなかった。きっと、このルールを徹底する(かつ、割り切る)度合いが違うのだろう。これも、意識を改めるきっかけにしたい。
 

 あと、「つっこまびりてぃ = 隙をつくる」ことの大切さについても、納得。

 ・自分の弱点や苦手なことを、恥ずかしがらずにさらしてしまうこと

 これも僕は結構苦手。blogではずいぶんと取り組んできてはいて、少し改善されてきてはいる。この章を読んだので、もう少し範囲を広げていく予定。



 自分の傾向として、出し惜しみしてしまうというものがある。これについても、示唆のある考え方が記されていた。

 ・仕事において、自己満足や小さな手柄に固執するのは全く本質的ではないし、何よりも誰も力を貸してくれなくなる可能性が高いのです。
 ・聞きかじりをしただけで簡単にまねできるアイデアは、本質的にはたいしたものではありません。

 
 ・ちょっとした報告のつもりだったのに、上司に捕まって怒られたり、「ちょっと貸せ」と仕事に介入されたりといったこともあるでしょう。お接ッかいな忠告を受けるかもしれません。しかし、そうした口うるさいアドバイスも、たいていは一理あるもの。いわれた瞬間、感情的に「ヤダな」と思うかもしれませんが、それによって、問題が一気に解決する可能性があるのです。




●第6章 直感に従って決断する
 この章も僕の感覚と近かった。ブログ(このブログ以外も)を書き続けていることもあって、書かれている内容の実感もある。

 個人的には、直感を踏まえた上での「決断する」ことのハードルについて、もう少し話しをききたかった。個人差が大きいところなので、他人の捉え方・受け止め方を知ることが、とても大きな参考になるように思う。

 もちろん、最後に決めるのは自分だというのを忘れてはいけないのだが。



●第7章 対立する概念を受け入れる
 この章はとても深い。書かれていることは理解できるのだけれど、ここまでの内容をもっと経験をもって掘り下げてから読まないと、読みこぼしが多そうな気がする。

 そんな状態ではあるけれど、ふたつのことを深く心に刻んだ。

 ・「得意淡然、失意泰然」という言葉。調子がいい時はおごることなく、淡々とやれ。調子が悪い時は落ち込まずに、どっしりと構えろ。
 ・自分の方向性について考えるときは時間をかけろ。ただし、実際に仕事に取り組む時はガムシャラになって、常にトップスピードでやるように心掛けること。


 どちらも反対のふるまいになってしまいやすい。言い訳もだしやすい類のものでもあるから、なおのこと。だからこそ、これを矜持することが成長につながるのだと思う。


●おわりに
 岩瀬さんがBCGにて先輩から言われたという言葉が印象に残った。

 ・「お前の話は正しい。正しいんだけど、面白くないんだよな…」
 ・「もっと工夫しなきゃ。正しいだけでは、提案は受け入れてもらえないよ」

 僕がものすごく陥りやすいところだ。正しいことを無視したり踏み外してはいけないと思うけれど、それだけでは結果につながらない。特に、人に受け入れてもらったり動いてもらうときには、正しさ以上のことが求められたり望まれたりする。

 正しいことが先に頭に浮かぶのは、僕にとっての強みだと思う。ただ、それだけではダメ。もっというと、「正しいだけではないこと=抜け道」を考えるのも、自分が得意(というよりは好き)なことでもある。お笑いをはじめとしたユーモアや、サプライズに通ずることも好きだ。

 おそらく、僕にとって必要な道具は、ある程度揃っている。ただ、今はまだ使いこなせていない。特に、組み合わせて使うことが、うまくない。


 以前は、こういう捉え方ではなく、もっと悲観的だった(武器の無さに注目しがちだった)。本書の読了後、そうした感覚が変わった実感がある。このblogエントリーを書いていることで、その感覚はさらに強まった。



学習方法に限らず、仕事やプライベートでの取り組み方、いろいろな場面に効用のある示唆が込められた本だと思います。分量も文体も構成も、いずれも読みやすく仕上がっているので、多くの人にまずは手にとって読んでみてほしいと感じた本でした。

ウド鈴木の魅力 「脱力させる面白さ」

先日放送された「リンカーン」でのこと。芸人が自らやりたい企画を持ち込んでプレゼンするという内容。ダウンタウンの浜田が「出演している芸人たちの人脈を生かしたわらしべ長者」という企画をだして実際にやってみたり、キャイーンの天野が「最近のテレビ番組で視聴率を確実に確保できる『衝撃映像』を、出演芸人みずから作る」という企画をだしてボツになったり(^_^;


そんななか、実際に実行された企画のひとつがキャイーンウド鈴木がプレゼンしたもの。その名も「ウドのクイズDEポン!」。

タイトルからして察することができるのだが、まったく内容が見えない(^_^;

プレゼンしている最中も、内容がまったく定まっていない。本人からは「新感覚のクイズ番組」と銘打って紹介していた。「クイズが正解したらくるくるまわって落ちるとか?」といった他の芸人からの質問にも、「そういった感覚をすべて取り払ってくれ」と。

なんだかんだで決まっていたのは、「タイトル」と「司会がウド」ということだけだった。全員内容を把握できないままだったようなのだが、今回企画が実現したのだった。



そんな風にはじまったこの内容。これがなんとも脱力した…(^_^;

まず、司会しているウドがあからさまに空回り。気合がすっごい入っているのか、テンションがものすごい高い。ただ、それが「あたふた」する方にまわってしまって、ただでさえわかりにくい話しの内容がさらにわかりにくくなっていた(笑)
しかも、まわりの芸人が乗り気でない姿勢を貫いていたから、かなりの温度差。これがまたウドを浮きだたせていた。ウドの額が汗でどんどんとテカっていくのが目に見えて分かるくらい。


そして、この企画。内容が斬新というか、わけがわからない。

 ・最初に食事が出されて、解答者が食べる。食べた後、「実はこれが優勝賞品」ということが明らかにされる。
 ・ウォーミングアップクイズとして「犬も歩けば棒にあた○? ○は何?」みたいな問題が出される。しかも、散々時間を使っておいて、「オンエア上はタイトルバックになる」。
 ・その後、少しばかりまともなクイズになると、正解者にチャンスステージが与えられる。ウドとジャンケンしたり腕相撲したりして、勝ったらポイントが入るという。しかも、ポイントはすべてウドのさじ加減。
 ・さらには、ムンクの叫びとモナリザが並べられて「間違い探し」なんていくクイズも飛び出す。これも、正解はウドのさじ加減。しかも、最後には「正解が出そろったところで」といってクイズを切り上げたり(笑)
 ・10点単位で与えられていたポイントが、最後の方の問題ではいきなり1万点単位に。しかも、これまたウドのさじ加減で突然に「○○さんから□□さんに1万点移動」というハンターチャンス的な動きがあったり。

もう、体から力が抜けまくりの30分だった(^_^;



ただ。こういう「脱力させる面白さ」というのも、なかなかに素晴らしいとも思った。脱力させるというと、どちらかというと「がっかり」につながることの方が多い。にもかかわらず「笑える」のだから。

脱力させられるのは
 
 ・内容が飛び過ぎる、もしくは拙すぎる
 ・途中経過(プロセス)が定まっていない、思いつき
 ・終わり(結論、成果)がぐだぐだ

といったことから感じられる。


こんな条件がそろったら、普通なら「やる気がそがれて、実行が滞り、結果も悪い」という流れになりがち。今回の企画も、多少なりともこの状態になってはいた。

しかし。後味が悪くない。何せ、笑えたのだから。


なんで笑えたのだろうか。

 ・そもそも「ぐだぐだ」となることは織り込み済み
 ・ウドが全力を尽くした上での「ぐだぐだ」であったこと
 ・「できてないこと」が許される(望まれる)ウドのキャラクター

ありていにいうと「おバカ」という感じだろうか。でも、少し前までに流行っていた「おバカタレント」のような計算込みのキャラクターではなく、「素で全力を出し切っての結果」としてこうなっていることが、ウドの素晴らしさだと思った。わざわざけっこうな時間をかけてまで日記に書き残したいと思えたのだから(^_^


脱力しながらの笑い。爆笑とちがって、心身や頭がすっきりするという感じではない。どちらかというと、ある種の「どっと疲れがくる」といった感覚に近い後味だ。

でも、そうした後味も、鑑賞している最中の「だるさがありながら笑う」感じも、どっちも奇妙な快感がある。これは、なかなか他で味わえる機会は少ない。


なんとなく、昔はそういう感覚を覚えることが、今よりは多かったような気がする。テレビ番組に限らず、オン(学校や会社)でもそうだし、オフの付き合いでも。なんだか「あくせく」してたり「せわしない」感じで追い立てられることが増えて、そうした余波が世の中に蔓延してしまっているのかもしれない。


脱力させるけど良い。そういうキャラクターを持つ人をもっと尊重して活用できる場を増やせるといいなぁと思った。そして、そもそもそういう人が今よりも増えている(今は以前よりも減っている気がする)状態になると良い、と。

ザ・ドリームマッチ09 真夏の若手芸人祭り!!

面白かった。
最初に番組の存在を知ったときは、二番煎じというか、二匹目のドジョウというか、あまり期待感がわかなかった。ただ、そうはいっても録画予約の手が止まらないのは、サガなんでしょうか…(^_^;


10日間の準備期間はいい設定だと思う(スケジュールの違いでハンデになってしまう要因ではあるので、正月のときは3時間にしていると思われ)。忙しいとはいえ、期間があるのと無いのとでは、ネタの着想と仕上がりにずいぶんと違いができるものだ。
今回のネタは、いずれも悪くないものだったと思う。この期間設定が効いていたんじゃないだろうか。


以下、印象に残ったコンビについてメモ。


ネタとしていちばんだったのは、最終的に優勝したことや世間的な評価と同じで、NONSTYLE石田とオードリー若林のコンビ。双方の持ちネタを織り込んでのネタではあったが、内容的にはM1に出ていてもおかしくなかったように感じた。持ちネタを外して真剣にネタを作り込んだら、けっこう本気で面白くなりそうという期待が膨らんだ。この企画とは関係ないところでも、ネタをみてみたいと思った。


意外と面白かったのは、ロバート秋山アンガールズ田中。お互いになじまない味とキャラクターを持っている二人という印象だったが、秋山ならではのキャラクターがうまく生きていた。田中が秋山キャラに乗っていった流れは、かなり面白かった。田中の方が気持ち悪さが強いし(^_^


なんともいいにくかったのは、ナイツ塙とオリラジ藤森。ネタはなかなかよかったし、特にオチ(スポットライトを浴びて、在りし日の白黒写真を映す)というのは、かなり面白かった。発想と勇気をたたえたい(^_^
ただ、塙の人間性はいまいち。藤森のツッコミにあれだけストレートにダメだしするところは、ちょっと閉口した。しかも、場を離れて一人になったときのコメントでも同じ姿勢だったので、アドバイスという観点ではなくて、本心そのものだったのだろう。否定するつもりではないのだけど、あの雰囲気を見せられてしまうと、ネタを笑いにくくなるのは確か。これは、このコンビ限定ではなく、ナイツのときもピンのときにも影響すると思う。


驚いたのは、トータルテンボス藤田とオードリー春日。二人ともネタを書かないという致命的な組み合わせだったので、これは危ないだろうと思っていた。ネタを作っている様子も、思いのほか順調に「できた!」なんていってたもんだから、ハードル甘いモードになってしまったのかと思っていた。
ところが、ネタをみていたら笑えた。オーソドックスなネタだったんだけど、普段から磨いている腕と、このネタ用に新たに取り組んだスキルがうまくはまっていた。



といった感じで、予想以上に面白かったのでけっこう満足。もう一回やったら観ると思えるものだった。ただ、こちらの企画については、きちんと10日間を確保して欲しい。期間を短くすると、作り手側が得られる都合のよさに比べると、視聴者側に還元されるものが少ないので。



それにしても、相方のネタをみたあとのコメントが印象に残った。

ひとつは、相方のひさんな姿を喜ぶコメント。いつもは味方でも、いち芸人という立場に戻るとライバルでもある。しかも、いっつも一緒にいるというのは、嫌いな側面も必要以上に把握してしまうものだ。そういう背景があると、すべる相方ほど面白く甘美なものはないのかもしれない(^_^;


もうひとつは、相方の新しい側面を発見すること。わかりやすかったのは、オードリー。若林が春日のネタを観た後に
「9年やってるけど、おばあちゃんキャラができることをはじめて知った」
といっていたこと。
他の相手と取り組むことで、自分では引き出すことができなかった部分を発見できる機会となることもあるのだろう。


相方を変えるというのは、芸人でなくても取り組んでみるのもいいのかもしれない。普段接している相手の良いところとそうでないところを、あらためて見直すとても良い機会になりそう(ただ、その結果がどちらに転ぶかはなんともいえない…(^_^;)。

しかも、相手のこと以上に、自分についてわかることも多そうだ。相手が変わっても同じようにうまくできることと、うまくできなくなってしまうこと、あるいはそれらの逆もあるだろう。

ラインとプロジェクトがそういう関係にあるかもしれないけど、もっとインパクトが強いやり方を見つけたい。「短期決戦な割に、プレッシャーがライン以上にキツイ」みたいな場というのが効きそう。
ちょっと、試してみるか。