M1 感想 2009

とうとう開催された。前置きはさておき、まずは内容を振り返る(実際は、鑑賞しながら書いた)。

【決勝】

・ナイツ        <85> 634
南海キャンディーズ  <85> 607
東京ダイナマイト   <87> 614
・ハリセンボン     <80> 595
笑い飯        <92> 668
・ハライチ       <87> 628
モンスターエンジン  <85> 610
パンクブーブー    <93> 651
NONSTYLE   <90> 641


【ネタをみた直後の感想(審査員の評価を観る前)】
・ナイツ
 小ネタの刻み込みが多くて、M1チューニングを万全にしてきたという印象。NONSTYLEの影響という印象もあるが。個人的には昨年の方が爆笑になるネタがあって好きだった。紳助のコメントが妙に褒めていて、優勝予定コンビなのかなぁと思ったり。

南海キャンディーズ
 出足は初登場のときと同じような面白さ。キャラとスタイルを活かしたネタやツッコミの面白さでの立ち上がりに期待が高まった。後半につながらなかったのが惜しい。

東京ダイナマイト
 めちゃくちゃ面白かったのだけど、たんたんといきすぎていてM1向きではないかなぁ〜…。特に最近の大会だと。

・ハリセンボン
 つかみから緊張感が伝わってきた。ハリセンボンらしいテンション全開のネタの部分は面白かったのだけれど、全体的に空回り気味だった感じ。このコンビは漫才よりもコントの方が絶対いい。

笑い飯
 奈良県立民俗博物館をほうふつとさせるようなネタ。ひさしぶりに「笑い飯、帰ってきたな!」と思った。ずしんとくる爆笑がでた最初のコンビだった。
 最初にボケが入れ替わったとき、それだけで笑いをとれた瞬間に、ダブルボケのスタイルの進化を感じた。まさに強みを生かしたネタづくり。


・ハライチ
 いきおいのあるネタはM1向きだなぁ、と思った。審査員として評価するのは難しいだろうなぁとも思った。

モンスターエンジン
 たしかにM1向きな感じのテンポになっていたのだけれど、その分だけ普通になってしまっていた気がする。モンスターエンジンならではの不条理さというか無理やりさというか、とんがった部分が薄らいでしまっていたように思った。

パンクブーブー
 「だからパンクブーブーは決勝進出すると思ってたんだ!」と、この数年間抱いていたことがやっと実現したような爽快感のある面白さを味わわせてもらった。素晴らしい。ここまででいちばん笑った!

NONSTYLE
 うまい。面白かった。昨年よりも良かった。ただ、延長線上という変化であった分、印象が弱くなった。連続出場の難しさ、特に前回の評価が高かったコンビに与えられるハードルの高さが象徴されていた。




【最終決戦】

NONSTYLE  <3> 3
パンクブーブー   <2> 1
笑い飯       <1> 2


【感想】
笑い飯のネタは以前に観たことがあった。パンクブーブーを推したい気持ちもあったので厳し目に鑑賞してしまった気がするのだけれど、それでも笑えた。あのアホさ加減全開の世界観とネタをもってきて、しかもうざいくらいに延々とやりつづける。このスタイルを押し通したところに心を動かされた。
ということで、笑い飯が1位。

パンクブーブーは惜しかった。優勝してもおかしくないネタだった。ひとつひとつのネタにきっちりとひねりを利かしたネタは、多くの芸人に浸透し始めている「軽いボケの怒涛の連発」とは一線を画した、彼らのスタイルとして確立してきていると思った。何度でも見たい、しかもきっと笑える、そう思わせる希少なコンビだとあらためて思った。

NONSTYLEは面白かったけど、やはり変化が少なかった分だけインパクトが弱かった。ただ、昨年に比べて、こうしたスタイルを面白く笑える理解ができるようになったのはNONSTYLEの漫才を観てきたからだと思う。




なんていう感想を書いてみたものの、結果はパンクブーブーの優勝!!!!!!!!!!



すごい! 感動した!



なんだかんだで笑いが多かったのが笑い飯だったというのと、ラストイヤーも含めたいろいろな事情を加味しても、笑い飯に優勝がいくのだと思っていた。ただ、結果はパンクブーブーだった。事前に「ダークホース」として挙げていたし、もう何年も前から決勝進出も優勝も、どちらも実現していてもおかしくないと思っていたコンビ。

数年前、はじめてルミネの舞台でネタをみて、「こいつら、面白い!」と強く印象に残った瞬間の映像が思い浮かんできた。あの頃は今よりもはるかに華が無くて、面白いんだけど人気はでなそうだな、と思っていた。でも、今では華もついてきて、人気もでてきている。今回の優勝をきっかけに、それも爆発するだろう。

極端に露出が上がる中で活躍し続けていくことは、喜びや楽しみや幸せと同時に、相当な苦しさもあると思う。それでも、今までと変わらずに面白いネタをばしばしと見せてほしい。そう、心から期待する。


ひとつだけ気になるのは、ふたりとも「ピンネタ」がおそろしく不得手だということ。R1での過去の成績はもちろんのこと、ライブで実際に披露された(特に「オモロー党」)ネタは、漫才の技量とは雲泥以上の差があることに驚愕したこともあった(^_^;


ま、それは置いておいて、とにもかくにも頑張ってほしい。僕と同じように思っているファンは、きっとたくさんたくさんいるはず。


パンクブーブー笑い飯。この大会を印象付ける最高のネタを披露してくれた二組に、あらためて感謝したい。







大会運営は、全般的に良かった。いつもは何かしら気になることがあるのだけれど、今回はそうした部分がなかった。というか、前回とほとんど同じになっていて、運営が安定してきたんじゃないかと思った。たとえば、大会ルールの説明で使用されたトーナメントのCGは前回とまったく同じだった気がする。

ただ、そうしたときは意外と注意が必要で、次回の大会である程度大きな変更がなかったら、縮小傾向に向かっている兆し。完成することは良いことではあるのだけれど、より良くすることがないというのは、特に最近の社会では飽きられることに直結する。

この大会は素晴らしいイベントだと思うので、ぜひとも継続できるように、さらなる発展飛躍につながる打ち手を期待したい。