東大×ハーバードの岩瀬式!加速勉強法
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- 作者: 岩瀬大輔
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2009/08/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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僕は勉強が苦手だ。学歴や成績がすこぶる悪かったわけではないのだけれど、勉強の仕方が下手。社会人になってからは特にそのことが身にしみることが多く、試験も仕事もうまくいかなかった記憶がいくつも思い浮かぶ。
理解力や記憶力は、自分で言うのもなんだが、どちらかというと良い方だと思う。実際に勉強をはじめても、最初は順調に進む。ただ、全体をひとおおり眺めたときの押さえ方にものすごいムラができる。これを解消するのがとても苦手。特に資格試験の勉強のような「決まっていることを正確に理解・記憶する」というのは、かなりストレスを感じてしまうのだ。
こうした状態は、自分の取り組み方に問題があると思っていた。勉強法にまつわる書籍を読むたびに。
ところが、この書籍を読んで、感覚が変わった。本書で紹介されている「スローイン・ファーストアウト」という考え方は、僕が自然にやってきていたことと近い(少なくとも、これまでに学んだ勉強法と比べると)。もちろん、著者の岩瀬さんとの経歴の違いを冷静に考えると、まったく同じではないのだけれど…(^_^;
とはいえ
「今までの取り組み方をベースに、うまくできていなかった部分を修正すればよさそう」
という感覚を持つことができた。これは、ものすごく大きい。
以下、感想のまとめです。長くなりすぎてしまいましたが、個人的な備忘メモの役割を含めているので、ご容赦願いますm(_ _)m
●第1章 全体を眺めて構造を見切る
僕の傾向と近い内容。そんな中でも「これは」と思ったのは
・相手が求めていることを「見切る」
勉強をしていると、どうしても「自分の趣味」に走ってしまうことがある(これは、仕事でもありがち)。これ、やっているときは楽しいのだけど、あとになって「ぜんぜん進んでいない」とか「対象がすごい増えた」とか、ハードルが高くなってしまう印象につながりやすいのだ。
しかも、意外と「誰かのためのアウトプットとして必要とされない」ことが多い。特に、学習の最初の段階でそこまで手を出すことが誰かに役に立つというケースは、ほとんどないと思う。
楽しんで取り組めることは大切なのだけれど、学習タイミングに応じて「必要レベル」を見極めることが重要。これは、仕事の進め方にも応用が利くし、自分の傾向に即効果がでるものだと思った。
●第2章 実践を通して肌感覚を身につける。
この章も、僕の傾向と近い内容。最近、別のblogで「細部は神に宿る」というテーマのエントリーを書いたばかりで、内容が重なっているという偶然にも驚いたり。
岩瀬さんの実体験(手袋メーカーのコンサルティング)エピソードを踏まえての
・実践せずに評論ばかりしていては何の価値も生み出さないのです
という言葉が印象に残った。いろんなところで見聞きする言葉なのだけど、腹落ち感が「いい感じ」だった。
あと、興味深かったのが
・デキる人の長所や取り入れたい特長のエッセンス(本質)を抽出し、徹底的に反復して身体に擦り込む
僕は(おそらく岩瀬さんほどは)モノマネをしたがらないタイプなのだけれど、それでも真似た経験はある。特に、文章の書きっぷりについては、社会人になってから明確にお手本をもって書くようになった。同じ文章を何度も何度も読み返し、書き写し、自分が文章を書くときもパクリに近いようなトーンで書いたこともあった。結果的に、それ以前と比べると、ましな文章が書けるようになったという実感は持っている。
最近、新たに出会った人や局面を経験して、課題と感じていたことがいくつかある。ちょうど、まずは「モノマネ」によって改善していけそうなものなので、早速取り組んでみる(^_^
●第3章 対象から離れて助走をとる。
この章も僕の感覚と近かった。ただ、この章に書かれていたことは、僕が「勉強がうまくない」と思っていた大きな要因のひとつだった。勉強をはじめて「いったん間をおく」というのは、余計な時間がかかったり、逃げの印象にもつながる。そうした考え方をする勉強法も多く、僕が自分の取り組み方に疑問をもった要因でもあった。
でも、この章を読むことで、「あ、間違ってはいなかったんだ」と、(ある意味)自分を肯定できる感覚を持つことができた。
ここで印象的だったのは、岩瀬さんがHBSのクラスで発言するために取り組んでいたこと。
・時間をかけて予習をすること
・いかに面白い視点で発言するか
僕もどちらも意識している(といっても、できないこともとても多い…)。
特に予習については興味深かった。「時間をかけない=勉強ができる」みたいな先入観があったので。「予習時間をあまりかけなくてもできる」を目指す姿にしなくてもいい。そう思えたことで、学習に取り組む気持ちが少し軽くなった。
●第4章 一点突破で強みを活かす
この章は、僕が取り組めていなかったいちばんのポイントだ。
全方位に優れた状態を目指すことは難しく、かつ必要性が薄くなっていることは理解しているつもり。一方で、そうした状態になりたがってしまうことと、そういう人を求める人が多いという実感もあった。この折り合いがつかず、なかなか一点に集中する覚悟を決められないことが多かった。
・アウトプットについて考えるときは、まず自分の強みを生かすことを考えるべき
・自分ができそうなところ、活躍の場がありそうなところを探して、そこに全力を注ぐ
この本を読んで、まず最初に取り組んでいるのが、この章に書かれていたこと。それは自分の「強み」と「キャラ」を振り返るということ。もともと、似たようなことをやっていたこともあって、いくつか挙げることはできる。ただ、これを言葉にするというのがなかなか難しい。本書にも書かれているのだけれど、エイヤッと言葉にしてしまうと、大事なニュアンスが削り落され得しまうのだ。ここは、もっと時間をかけて取り組む。
あと、
・簡単な作業などはすぐやってしまいましょう
・与えられた仕事はいきなり着手する。ためらってはいけません。
岩瀬さん自身のエピソード(HBSの同窓生から「(とある講義の)準備メモをもらえないか?」というメールの依頼があったとき、10分後に対応して、まわりの同窓生からも驚かれたという)もあって、スピードをもって全力でやるという意識を改めて高めることができた。
●第5章 「借りる力」を身につける
僕がいちばん苦手なのが、この章に書かれていたことだった。「わかっちゃいるけど…」というもの。「自分で解決したい」とか「人に聞きに行くからには最低限のことはクリアしておく」といった感覚から、フットワークが鈍る。いろんな情報に触れるたびに、「それは良くないこと」と諭されるようなことが多く、苦手意識が強まることが続いていた。
ただ、この章は、そうした教訓感覚よりも、感心することの方が多かった。
まず面白かったのは、BCGでのルール。
・新しいプロジェクトが始まったら、まず全社に一斉メールを出す
・30分考えて答えが出てこなかったら、誰かに議論をふっかけろ
どちらも、自分の感覚から比べると立ち上がりがかなり早い。とはいえ、壁を感じたというよりは、「これを基準に動くことにしてみるか」という切り替えにつながった。
もうひとつ印象に残っているのは、人の力を借りるための基本。
・当たり前の話ですが「自分ができること」について他人の力を借りてはいけません。「もうダメだ…」というところまで精いっぱいやって、どうしてもできないところだけ、他人の力を借りる。これは重要です。
僕が意識していたことと大きな差はなかった。きっと、このルールを徹底する(かつ、割り切る)度合いが違うのだろう。これも、意識を改めるきっかけにしたい。
あと、「つっこまびりてぃ = 隙をつくる」ことの大切さについても、納得。
・自分の弱点や苦手なことを、恥ずかしがらずにさらしてしまうこと
これも僕は結構苦手。blogではずいぶんと取り組んできてはいて、少し改善されてきてはいる。この章を読んだので、もう少し範囲を広げていく予定。
自分の傾向として、出し惜しみしてしまうというものがある。これについても、示唆のある考え方が記されていた。
・仕事において、自己満足や小さな手柄に固執するのは全く本質的ではないし、何よりも誰も力を貸してくれなくなる可能性が高いのです。
・聞きかじりをしただけで簡単にまねできるアイデアは、本質的にはたいしたものではありません。
・ちょっとした報告のつもりだったのに、上司に捕まって怒られたり、「ちょっと貸せ」と仕事に介入されたりといったこともあるでしょう。お接ッかいな忠告を受けるかもしれません。しかし、そうした口うるさいアドバイスも、たいていは一理あるもの。いわれた瞬間、感情的に「ヤダな」と思うかもしれませんが、それによって、問題が一気に解決する可能性があるのです。
●第6章 直感に従って決断する
この章も僕の感覚と近かった。ブログ(このブログ以外も)を書き続けていることもあって、書かれている内容の実感もある。
個人的には、直感を踏まえた上での「決断する」ことのハードルについて、もう少し話しをききたかった。個人差が大きいところなので、他人の捉え方・受け止め方を知ることが、とても大きな参考になるように思う。
もちろん、最後に決めるのは自分だというのを忘れてはいけないのだが。
●第7章 対立する概念を受け入れる
この章はとても深い。書かれていることは理解できるのだけれど、ここまでの内容をもっと経験をもって掘り下げてから読まないと、読みこぼしが多そうな気がする。
そんな状態ではあるけれど、ふたつのことを深く心に刻んだ。
・「得意淡然、失意泰然」という言葉。調子がいい時はおごることなく、淡々とやれ。調子が悪い時は落ち込まずに、どっしりと構えろ。
・自分の方向性について考えるときは時間をかけろ。ただし、実際に仕事に取り組む時はガムシャラになって、常にトップスピードでやるように心掛けること。
どちらも反対のふるまいになってしまいやすい。言い訳もだしやすい類のものでもあるから、なおのこと。だからこそ、これを矜持することが成長につながるのだと思う。
●おわりに
岩瀬さんがBCGにて先輩から言われたという言葉が印象に残った。
・「お前の話は正しい。正しいんだけど、面白くないんだよな…」
・「もっと工夫しなきゃ。正しいだけでは、提案は受け入れてもらえないよ」
僕がものすごく陥りやすいところだ。正しいことを無視したり踏み外してはいけないと思うけれど、それだけでは結果につながらない。特に、人に受け入れてもらったり動いてもらうときには、正しさ以上のことが求められたり望まれたりする。
正しいことが先に頭に浮かぶのは、僕にとっての強みだと思う。ただ、それだけではダメ。もっというと、「正しいだけではないこと=抜け道」を考えるのも、自分が得意(というよりは好き)なことでもある。お笑いをはじめとしたユーモアや、サプライズに通ずることも好きだ。
おそらく、僕にとって必要な道具は、ある程度揃っている。ただ、今はまだ使いこなせていない。特に、組み合わせて使うことが、うまくない。
以前は、こういう捉え方ではなく、もっと悲観的だった(武器の無さに注目しがちだった)。本書の読了後、そうした感覚が変わった実感がある。このblogエントリーを書いていることで、その感覚はさらに強まった。
学習方法に限らず、仕事やプライベートでの取り組み方、いろいろな場面に効用のある示唆が込められた本だと思います。分量も文体も構成も、いずれも読みやすく仕上がっているので、多くの人にまずは手にとって読んでみてほしいと感じた本でした。