キングオブコント 2009 感想

さきほど、大会が終了した。予想の精度は「半々」といったところでしょうか・・・(^_^;


で、早速。まずは基本的な部分のおさらい。

【全般的なルール】
 ・全組2本での審査
 ・セミファイなりストの芸人が審査するという形態は同じ
 ・4分で強制終了
 ・1人10点

全部2本の総合というのは、微妙。取り戻せるというチャンスにも取れるが、全員が2本やるというのは、ちょっと緊張感が持たない気がするが。とはいえ、昨年の「決勝は決勝出場者による投票」に比べるとはるかに改善されていると思う。
4分で強制終了というのは、わかりやすくて良いと思う。守らなかったもん勝ちにならないし。
1人10点になったのは、審査に意味のある差がでだしやすくなってよいと思う。


【内容】
(左が自分の採点。カッコ内が正規の採点。出場順に並べている)

(1)1本目
? 東京03       800(835) コンビニ店員のリアクション。面白かったけど、もうひと展開欲しかった。
? ジャルジャル     760(734) すし屋のしりとり。若年層向けのネタ。ジャルジャル的ないやらしさが活かされてなかった
? モンスターエンジン  810(771) 競馬の実況。杖で撃ったり、実況での味のある間は絶妙。ただ、オチがそれまでの流れに比べると軽かったのが惜しい。
? ロッチ        770(807) 取調べでカツどんの注文。観たことあるやつだったこともあってか、ちょっと印象が弱くなったかも。
? 天竺鼠        740(723) 食堂での荒々しいやりとり。不条理な世界観はわかるのだけれど、みていてもうひとつ入り込めなかった。
? しずる        785(820) 冥土の土産。面白いのだけれど、以前ライブで観たことがあった分、自分の点数は辛め。
? サンドウィッチマン  800(878) ファーストフード。これも前に観たことあるけど、それでも笑えた。ネタがうまいし演技がうまいのがいい。落ちの「ホ・タ・テ」、さすが!
? インパルス      770(767) 墓参り。キャラクターと途中までの展開は面白かったけれど、追い掛け回すの次まで入れて欲しかった。


※点数を入れているうちに、審査委員の感覚と調整をあわせていった感じあり。

(2)2本目
? 天竺鼠        730(829) コンビに強盗の老人。ゴールデンの生放送で、4分で、賞レースで、いずれにも合わないネタ。ライブで長時間演じるんじゃないと難しいと思うが、どうだろう?
? ジャルジャル     770(805) 野球部。これも以前に見たことがあったので、ちょっと点数がつけにくかった(後半の構成が少し違っていたが)。あのオチは驚いたけれども、4分にまとめるための策という感じもした。
? インパルス      820(868) 警察官。面白かった。別々のシチュエーションと設定を乗せて構成したネタはなくはないけど、このうまくできていた。ゴールデンの時間帯にこういう大会で仕掛けてきた勇気(?)も評価。
? モンスターエンジン  750(855) 落ち武者の守護霊。単独ライブ用のネタという印象。モンスターエンジンっぽいのだけれど、ここでやるのはもったいなかった。
? ロッチ        760(804) バイトの採用。店長と店員のいい感じの適当さがうまくロッチらしさと合致していた。ただ、4分だとちょっと短いか…?
? しずる        800(831) 卓球。彼女をとられてのやり取りはオーソドックスだったのに、後半の盛り上げが秀逸。つい高い点数が入れたくなってしまうネタ。うまいし、面白かった。
? 東京03       800(953)同級生と旅行。テンションがいい! ハーモニカ反則とも思ったが(笑)、最後のオチの流れのうまさも素晴らしい。
? サンドウィッチマン  760(865) 散髪。観ていて、もう一歩ひきこまれなかった。サンドウィッチマンの「くすぐり続けられるような面白さ」が活きたネタとはちょっと違っていたような気がする。



【最終結果】
(左が自分の採点。カッコ内が正規の採点。カッコ内点数の順に並べている)

・東京03      1600(1788)
サンドウィッチマン 1560(1743)
・しずる       1585(1651)
・インパルス     1590(1635)
モンスターエンジン 1560(1626)
・ロッチ       1530(1611)
天竺鼠       1470(1553)
ジャルジャル    1530(1539)


【感想】

面白かった。一視聴者と出場芸人とは審査に差があるというのもあらためて実感しつつ、それはそれとして大きな隔たりと感じるほど感覚の違いがあるものでもないとも思った。

ただ、前半の点数に比べると、後半の点数は番組進行に合わせた調整が入っていたかのような印象だった。点数基準が明らかに変わったように思う。構成上の指示(演出?)なのか、芸人がそれぞれ(空気を読んで)判断したことなのかはわからないけど。点数が拮抗する流れは盛り上げることに一役買うこともあるけど、点数に明らかな違和感があるときには逆効果になるものだ。今回、いちばん残念に思ったところだった。

あと、DNA。優遇されすぎ(笑)


【その他印象に残ったこと】
各審査委員の投票内容は公表したほうがいい。公表されると点数が入れにくくなるというの(点数がゆがむ)というのもわかるのだけれど、オープンじゃないからゆがんだ内容を入れやすくなるという面もあると思う。
審査内容がオープンにできないのは、基本的に「審査」という役割にあっていないと思う。オープンにしにくいのであれば、審査委員の体制を変えるべき。

それと、ダウンタウンが幾度にもわたって指摘していたように、TBSの進行はうまくない。時間が押してるかどうかといった指示は司会の二人が感じていたとおりなのだろうし、中盤で前半を振り返るところも鑑賞している側のテンポがくずれるものだった。せっかくルールは良い方向に進んでいるのに、進行で相殺してしまったのはもったいない。

あと、どうもM1やR1に比べると「緊張感」と並行して「緩み感」も感じられた、演者の緊張感は高いのだろうから、観客・視聴者側にも同じ感覚を味あわせるくらいの演出のほうが盛り上がったように思った。


【まとめ】

なんにしても、東京03の優勝は納得のいくもの。実力・実績の割りに、賞での評価があまりなかったので、今回の優勝は芸人活動を通じての成果として見合うものだったと思う。

サンドウィッチマンは惜しかった。2本目も1本目と同じくらいのものだったら、優勝していてもおかしくなかった。

しずるは、事前に想像していた以上だった。彼らの「人間観」でつくられたネタの面白さが、世の中に広まる良い器械になっていたと思う。

インパルスもよかった。1本目が惜しかっただけに、もったいなかった。個人的には、警察官のコントがいちばん面白かった(^_^

モンスターエンジンも惜しかった。こちらは2本目。競馬のネタで見せた「キャラクターのイタさ加減」は本当に面白い。また観たい。

ロッチは、よかったんだけど、この大会と他の参加者との組み合わせに縁がなかったのかもしれない。独特の「力の抜けた間合い」は、観ていて脱力してしまう笑いを味わえる貴重なコンビだと思う。

天竺鼠は、自分たちの面白いことにこだわりがあるのが伝わってきた、ただ、今はこの大会とは合っていないのが、この2回の大会の結果なのだと思う。わが道を行くか、優勝を狙うか、選択のタイミングなのかもしれない。

ジャルジャルは、「大会用に選び抜いたネタ」をもってきたのが裏目にでたのかもしれない。彼らのもっとバカバカしさを感じさせながら爆笑させるネタで勝負していたら、結果はちがっていたようにも思った。


ただ、いずれの出場者たちも、難関の予選を勝ち抜いてきた猛者ばかり。それを証明した大会となっていたと思う。と同時に、予選で敗退した面々の力量も知らしめる役割を果たしていたのだとも思う。

テレビでコント番組が激減している昨今、この大会を通じて、あらためてコントの素晴らしさが理解浸透していったらいいなぁ、と心から思った。

一過性のブームで終わらず、ぜひとも「多くのテレビ番組に影響する」くらいの発展を遂げていって欲しいと期待している(^_^