ダイノジ 漫才

ダイノジのライブのタイトル。
タイトルの割に、コントが半分以上だったのは不思議な感覚ではあったのだけれど、人生漫才という言葉の響きそのものが、彼らの生き様と共鳴しているように思った。


ここ数年に鑑賞したライブ(50本くらい)の中でも、トップクラスの内容だった。何がトップかというと、鑑賞後の満足感。個別の要素をいいはじめると、ライブ個々の特性に左右されてしまうので、なかなか比較が難しい。でも、総合的な満足感は比較できるし、このライブはとても高かったと言い切れる。



何よりも良かったのは、ダイノジの真剣さだ。魂込めてライブをやっている。死に物狂いで人気を得たいはずの若手芸人たちと比べても遜色ない、というか上回っている。迫りくる勢いを生み出していたのは、なんだったんだろう。

ひとつは、彼らの演技のうまさ。すべてのネタで演じられるあらゆるキャラクター、どれひとつとっても手抜きを感じなかった。たとえとして正しくはないかもしれないけど、ネタを見ているときに感じたレベル感は、イッセー尾形の一人芝居の質に近い印象だった。彼らの一挙手一投足、セリフのトーンやイントネーション、視線や眉の動かし方といった微細な表情の付け方、あらゆる要素で世界観に引き込まれた。


もうひとつは、ネタの密度。こんなに「隙間(暗転)」の少ないライブ、みたことない。ネタのつながりがある内容なので、間をあけずに進めた方が良いという狙いもあったのかもしれない。でも、あんなに絶え間なくネタをやり続けるのは、相当の実力と根性が揃っていないとできないと思う。

しかも、ネタの合間の時間があるときでも、爆笑せずにはいられないブリッジ映像(真・声に出して読みたい日本語シリーズ)が延々と流される。さらには、ライブはたっぷり3時間のぶっとおし。正直、観客としては、振り落とされないように必死だった。

※ちなみに、この「声に出して読みたい〜」、こんなに大爆笑したネタはひさしぶり。このネタのDVDでたら買うと言い切れるくらいはまった。


そして、彼らに集まってくる観客も大きな要素だったと思う。僕も知っている方だとは思うのだけど、会場の多くの観客が僕よりもダイノジに詳しい人たちだった。小西さんとか、盛り上がり方が半端じゃなかった。さらに素晴らしいのは、こういう観客が揃うと内輪ウケの空気になってしまいがちなのだけど、詳しくない人にとっても居心地のいい雰囲気になっていたと思う。こういう観客をそろえられるのは、まさにダイノジの魅力そのものなんじゃないだろうか。

これは、ライブ終わりのあいさつの姿勢から感じたことでもある。ダイノジのふたり、最後に観客に向けて頭を下げて礼を示す様子は、みていてジーンとする。このライブにかける思いにあふれている。それは自己満足のためではないというのが、ひしひしと伝わってくるのだ。だから、感動する。



「知る人ぞ知る」に偏ることなく、ただひたすらに「面白いこと」を追求している。そして、しっかりと笑わせる。ときにはジーンとさせ、ときにはあきれさせ、最終的なライブの満足度が最高になることだけを突き詰めていた。そんなライブだったと思った。



今回のライブ、途中で思ったことがある。それは「伊坂幸太郎の作品」的な仕上がりになっていたこと。ライブ終わりに配布されたサムライ新聞を読んでみても、(伊坂作品という言葉はなかったが)それに類するような表現があった。
お笑いのライブでこうした作り方を継続することができたら、ダイノジのライブはさらにプレミアが高くのかもしれない。


ただ。
そうはいっても、ダイノジには、そういうポジションには行ってほしくないという、ファンとしてのわがままな期待もある。本人たちにもそういった意向はあるようなので、いい感じで続けていってもらえると、いちばんうれしい(^_^

次のライブがいつになるのかはわからないけど、次回も絶対に参加する。




ところで、ライブ中、「4年ぶり」という言葉がでてきていたのだけれど、「3年ぶり」じゃないかと思うのだが、どうなんだろう。エアギター世界チャンピオンになった後のライブで、優勝した時の実演をしてくれたのは3年前だったような気がする。
ま、そんなことは、どうでもいいか。それくらい面白いライブだったのだから(^_^




あぁ。あと、最後のシンバルキック、あれも最高だった(^_^


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