セブンティーン・アゲイン
映画です。ザック・エフロン主演で話題となっていた作品。
学生時代に夢見ていたような生活にたどりつけなかったおっさんが、ある日突然に17歳になってしまう(過去にタイムスリップしたわけではなく、自分の肉体だけが若くなった)。これを機に、失ったと思っていた自分の人生をやり直していくという、ちょっとファンタジックなストーリー。
予告編でみたときは「アイドル映画」的な内容かと思ってあまり見ようとは思わなかったのだけど、意外と評判が良いようなので興味が高まっていた。そうこうしているうちに上映期間が終わりそうな時期になってきているので、先日観に行ってきたのだった。
この映画、ただのアイドル映画ではない。
冒頭ではファンタジー的な紹介をしたけれど、実際はもっとハートフルなものだ。ただあたたかいだけではなく、自分の人生や家族について、そして本当に大切なものは何か。ふと親身になって考えてみたくなるように思わせてくれる内容だった。
僕がこの映画でとても好印象だったシーンをいくつか書いてみる。
ひとつは、17歳に若返った本当の理由に気づく場面。
自分の人生をやり直すことを、「夢半ばで諦めたバスケに取り組むこと」と理解していた主人公のマイク。しかし、いくつかの出来事に巻き込まれる中で、自分の本当の役割に気づく。そして、それは、本人にとって何よりも大切な「人生をやり直すこと」に通じるもの。
この役割(目的)を理解した時から、すべての意識と行動が一貫性をもって変化していく。おっさんだったときには失っていたものを取り戻すかのように。
しかも、その動機は、あふれんばかりの愛情からきている。人が何かに思い至って決意するというのは、こういう感じなんだろうなぁと思えるシーンだった。
もうひとつは、マイクが同級生(といっても、自分の子供と同い年)に対して、子供に対する愛情の芽生えを語った場面。
高校での授業で「性」を取り扱うクラスになったときのこと。悪ノリする子供たちを見ていたマイクは、「まだ早い」と諭す。最初はただの頭の固いおやじ的な雰囲気で見られていたが、なぜそう思うようになったかを語っていた内容がとても素晴らしかった。
マイク自身、高校生の時に子供ができてしまったためにバスケを捨てた。そうした背景があった上でもなお、はじめての子供に出会えた瞬間に感じた言いつくせぬ思い。これ以上のものは思いつかないくらいの愛おしさを感じたこと。
ひとつひとつの言葉も、それを語る口調やしぐさ・表情、すべてがよかった。
実は、この作品、全体を通じて、物語には目新しくないものが多い。展開も読めるところも多いし、ご都合主義的な展開もいくつもある。なんとなく、大映ドラマのにおいに近しい感じもあった。
しかし。それでもなお、この映画の後味は素晴らしい。後味だけではなく、見ている過程のほとんどで、心地よさに包まれる。
DVDが出たころに、もう一度見てみたいと思った作品でした(^_^
さて。この作品。今をときめくザック・エフロンが主演しています。
この映画を見る前のザック・エフロンの印象は、それほどインパクトがなかった。ヘアスプレーを見たときは、役柄的にも演技的にも、ちょっと弱々しさがあったし。
しかし。この映画をみて、これはすごいなぁ、と。少なくとも、鑑賞後にあちこちから「ザック、かっこよかった」という声がきこえてきたのは確か。
実際、かっこよかった。そういう役柄と演出が影響しているとは思う。しかし、それだけではない。実際のところ、トム・クルーズのようなあからさまなハンサムという感じでもないと思う。でも、今回の映画ではかっこよかった。少なくとも、印象がいいのは間違いない。
ザック・エフロンのいちばんの魅力は「敵がいなそう(少なそう)」な雰囲気にあるんじゃないかと思った。あれだけクリーンな印象で役を作って演じることができるのは、なかなかにすごいことだと思った。
かっこいいキャラクターをやるとどうしても鼻につく感じがでてきてしまったり、かといって弱さを盛り込むとあざとさが見えたりしてしまうものだ。しかし、今回のザックのキャラクターからはそういった要素はあまり感じられなかった。
このままいくと、いつぞやのマイケル・J・フォックスくらい活躍しそうな感じがしました(あるいは、上回るのか…?(^_^)
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