ツルベ噺2009

笑福亭鶴瓶トークライブにいってきた。最初は落語をやるものだと思っていたのだけど、全編トーク。まあ、そっちを期待していたのだけど、まさかここまでがっつりだとは(2時間ちょっと、ほぼ休みなく話し続ける)。


ライブにいってきておいてなんだが、僕は鶴瓶をそれほど好きなわけじゃない。すごく面白い芸人だと思っているけれども、好みとなると話はちょっと別。話をするときのスタイルが、どんどんと横道にそれていくので、きいていて「で、本線はっ!?」と突っ込みたくなってしまったりするのだった(^_^;

とはいえ、この人の腕が半端ではないことも承知している。「どうだ、すごいだろう!」的な披露の仕方ではないから目立たないけれど、横道にそれながらも観客をひきつけて、さらに笑いも要所要所でとりながら落ちをつける。ここには、かなりの技量が注ぎ込まれている。

ということで、好みとは別に、いっぺんライブでトークをきたいなぁということで、いってみたのだった。



このライブ、ひさしぶりに「ぞわっ!」とする感覚を味わった。いろんな意味で感動して。


ひとつは、話のうまさ。もっとも「ぞわっ」というのを感じた瞬間は話の落ちの部分だった。しかし、話の流れ的に、僕はその落ちが頭に浮かんでいた。「こうなるかなぁ〜…」と頭に浮かべつつ、そうではない落ちを突き付けられるのを期待していた。ところが、落ちは予想通り。

にもかかわらず、「ぞわっ!」とした。わかっていてもそう思わせてしまうトーク運びだったのだと思う(正直なところ、なぜそう感じられたのかは、いまいちよくわかっていない)。照明をいいタイミングで落とすといった演出効果もきいていたのだけど、やはり話のうまさあってのことだと思った。


感動したもうひとつは、笑福亭鶴瓶という人間性
この人、けっこう破天荒な芸風を持っている。今でこそなんか好々爺に向かっていきそうな印象もなくはないけど、本来的にはめちゃくちゃする人だ。暴力はしないけど、無茶をする。

あるいは、つくり笑顔を筆頭に、裏表のあるキャラクターという一面もあるように思う(そういう印象を世間に持たせるようにマーケティングしているというのもあるとは思うが、あながち嘘でもないとも思う(^_^)。

ただ、この人の資質の最たるところは、人柄なのだと思う。人付き合いを怠らないというか。僕自身は面識がないから実感はないのだけど、この人のエピソードをきいているとそう思える。
 ・営業先の地方で盲腸になって手術してもらった医師と、30年来の関係が続いている
 ・60歳前後の兄弟5人と、今になっても仲良くしている(一緒に旅行に行ったり)
 ・突然押し掛けた恋人の実家で、10日間も止まり続けた
 などなど(3つめの話は微妙なところもあるけど(^_^;)。


こうした話をきいていると、けっこうひどい紹介の仕方をしている。笑いをとるために話をしているので、そういうエピソードが中心となる。きき方によっては馬鹿にしているように感じられそうな話なのだけど、きっとそうならない。腹は立つかもしれないけど、「しょうがないなぁ」といって終わってしまうことが多いのだと思った。すべては、人柄によるものなのだと思う。


笑福亭鶴瓶という人物、今回のライブを通じてあらためて感心した(年配の人に使う表現ではないかな…?)。これから主演映画が連続している(ディアドクター、おとうと)らしいので、いろいろな活躍ぶりに注目したいところです(^_^