ロンブー淳

今日の「久米宏のテレビってヤツは!?」に出演していた。

最近、新聞への寄稿や自身のラジオ番組で政治を扱ったりしているらしい。しかも、本人曰く「ニュース番組をやりたい」とのこと。僕の(というか世間の多くの人が思っていると思うけど)淳に対するイメージが、もともと「島田紳助に似ている」という感覚だった。なので、この展開は順当かなぁと思った。


ロンブーというと、僕が学生の頃にテレビに出演しはじめた。ロンブーについて僕が記憶している最初の番組は、よしもとの深夜番組。ここで「BINTA」という企画をやっていたことだった。女性とカード対決(確率が半々)をして、女性が勝ったら10万円、ロンブーが勝ったらビンタをされるというギャンブル(笑)
しょうもない企画だったけど、すごい面白かったのは確か。

で、この企画で一気に駆け上がっていったように感じた。このあと、「ガサ入れ」やら「スティンガー」やら、ロンブーならではの企画を着々と生み出していって、今のポジションを築いていったのだと思う。今でこそオリラジが最速出世みたいに取り上げられているけれども、ロンブーも当時としては類をみない早さで、しかも新しいルートでの出世だった。

一方で、プレイヤーとしての面白さは判断しづらい。これだけのポジションにきた割に、テレビでネタをやったことがすごい少ないのだ。これ、ロンブーの特徴でもあり、凄さなのだと思う。プロデュース力というか、世間が何を観たいのかと察するのと、それを実際に示す度合いのさじ加減がものごい絶妙。「ついつい観ちゃう企画を生み出す能力」と「番組の進行能力」は郡を抜いているようにも思う。



で、そんな印象の淳(ロンブーと書いたが、亮に対してはまた別な感想なので)。今日の番組をみていて、またちょっと印象が変わった。あらためてその資質というか素養に感心してしまった。番組で話している様子全般を通じていろいろと思うところがあったのだけど、特に印象に残ったことがいくつかある。


ひとつは、麻生総理の漢字の間違いについて。
「世間のニュースでは、漢字の間違いをただひたすらに取り上げていた。でも、ニュースとして本当に取り組む価値のあることは『漢字は間違えちゃったけど、そもそも総理がいいたかったのはこういうことですよ』というのを示すことなんじゃないの?」という発言。あわせて「漢字がどうこうよりも、政策がどうなのかを論ずるべきなんじゃないか」と。

これはまさにそのとおりだと思う。漢字を間違えたことを報道すること自体は構わないと思うのだけど、それに注力しすぎだと感じる。報道側の言い分としては、おそらく「そうしないと世間が観ない」という回答が帰ってきそうな気がするけど、「世間が観たくなるニュースをつくれない言い訳じゃないの?」と思ってしまう。

門外漢の淳がいったこの言葉は、当事者にとってはかなり重いものとして受け取ってほしい。重いと同時に、これからの報道のあり方(というか、提供するべき価値)にたどり着くきっかけになるようにも思う。


もうひとつは、番組作りに対する意識。
まず「生放送は好きではない」ということ。淳曰く「30分番組でも、2時間くらい収録したい。その上で、面白い30分を構成して伝えたい」。面白いといっているのは「ゲストの人柄がわかること(そういう一面があったのね、と思ってもらえること)」を指しているとのこと。生放送だと「時間内に終わらせる」への意識が強くなりすぎて、本当に伝えたいことが曇ってしまうのがイヤとのこと。

これとあわせて「出演者に対しては、その人がいちばん聞いて欲しくないことはきかない」というポリシーについても語っていた。こうすると、その人が本業にもどったとき「あの番組いいよ(嫌なツッコミがなくて)」という評判がまわっていって、いろんな人がきてくれるようになるというのを意識しているらしい。

「嫌なことをきかない」というのは、僕の印象ではまったく逆のイメージだったので、ちょっと驚いた。ただ、理由をきいてみると、確かに淳らしいようにも思った。彼の視点は、常にプロデューサーなのだと思う。ゲストも視聴者もスポンサーもスタッフも、みんなの幸せがいちばん大きくなる手法がそうした考えなんだろうと思ったので。



ま、そうはいっても、僕自身のロンブーへの思い入れはそんなに大きくないのだけど(^_^;

ただ、淳がニュース番組をやるといったら、見るかな。きっと他のニュースでは見られない面白さが詰まっているだろうとは思う。