タモリ倶楽部

みなさんご存知、テレビ朝日の名物長寿番組。このあいだ、開局50周年記念として総集編が放送されていた。長寿番組のわりに「はじめて」とのことで、ちょっとびっくり。この番組、放送開始から27年を経過しているとのことなので。

正直、とっても驚いた。

まず驚いたのは、初回放送の企画。タモリがラジオの生放送を終えたところから尾行するというドッキリ。しかも、内緒で尾行するというナレーションをいれているのに、思いっきりタモリにカメラを発見されているという。こんなシュールなことを27年前にやっていたのか、と。

そして、その後の定番となった「オタク」的な企画。

その中でも特に名物である「鉄道」に関しては、相当にすごい。僕はまったく興味を持っていないので、正直、会話にでてくる内容や価値観の多くは理解できなかったりする。にもかかわらず、めちゃくちゃ面白い。「そんなことまで追い求めるのか(笑)」みたいな面白さは秀逸。

たとえば、京急の回送列車に乗るという企画でのこと。
通常、どんな種類の列車であっても、大都市横浜は必ず停車する。しかし、回送に限っては通過。乗車している出演者陣(みな鉄道オタク)は、その光景に狂喜乱舞する(笑)
あるいは、突然、「いっぺん、これやってみたかった」とつぶやきながら床に伏せる出演者がいた。何をするのかと思ったら、モーター音をきいていたらしい。それを見たほかの出演者陣もいっせいに床に伏せて、大の大人たちがこぞってモーター音に聞き入っているという光景が映されていた(笑)

こういうあほなこだわりの面白さ、僕は大好き(^_^


しかも、これ、僕が好きなだけではないのがスゴイところ。最近大人気のアメトーク(家電芸人なんかは社会現象にもなりつつある)。この番組はまさにそういう「あほなまでのこだわり」が売り。魅せ方がちがうのでタモリ倶楽部とは別物ではあるものの、エッセンスに限ってしまうと同類だと思う。

アメトークがぱくったといいたいわけではなく、「タモリ倶楽部は27年前から、そういう企画をやり続けている」ということの凄さを讃えたい。今くらい「ニーズの細分化」が進んだ状況であれば、こういう企画は通りやすいし、成立しやすい。それを「マス」の時代から取り組んでいたことは、本当に尊敬する。

といっても、当人たちにすると「楽しいことをやってきただけ」という感覚なのだとも思う。だからこそ、すごいと思うし、素直に「いいなぁ〜、面白いなぁ〜」と受け入れることもできる。どんな仕事も、そういう感覚で、「ほどほどに(許容できるレベルを超えるところで)満足できる結果を継続する」というのは、ある意味で豊かな生き方なのだと思う。

自分の人生や仕事でも、そういう感覚が取り入れられるようにできないかなぁ。考えてみる(^_^



ちなみに。この番組で最も経緯をはらうべきことは、深夜枠をずらさないことにあると思う。最近、深夜でとてもとても面白い企画を続けていた番組が、いくつかゴールデンにいって短命に終わっている(あるいは苦戦していたり、面白さが半減している)。とてももったいないと思う。

人気のある番組をゴールデンにもっていって数字を取りたい、人気番組の枠をあけて新しい企画を生み出したい。そういう気持ちはわかる。でも、ゴールデンで同等以上の価値を生み出せるかどうかの判断は、十分に吟味してからにして欲しい。使い捨てのつもりで時間帯を変えていることはないだろうから、視聴者のためにも近視眼的な過ちはぜひとも回避して欲しい。