ボキャブラ天国

ぼきゃぶら

先日の放送、10年ぶりの復活だったらしい。

なにがすごいかって、面白かった。当時を懐かしむ面白さあり、いまの若手がからむ面白さあり、当時の若手がおっさんになってはしゃいでいる面白さあり。観る前は「大丈夫か、いまこの企画やって・・・」とちょっと心配していたが、見事に良い意味で裏切られた。よかったよかった。


ボキャブラが始まったのは僕が高校生の頃で、当時はまだ一般からネタを募集してやっていた。タモリ倶楽部空耳アワーみたいな感じだった。これはこれでけっこう面白くて、けっこう印象に残っている(いまだに、第1回で放送されたときのネタが記憶に残っているくらい)。

で、いつの頃からか芸人枠のコーナーができはじめて、気づけばそれがメインのコーナーに。それから人気が大爆発して、ボキャブラ芸人ブームになった。当時のことは、すごく印象に残っている。


ボキャブラ芸人たちの活躍
それにしても、本当にあのなかから生き残っている芸人には驚かされる。

爆笑問題は、僕が社会人になるくらいのころ、一気に爆発していった。急激にレギュラーが増えて、僕の感覚だと「あまりおもしろくなくなったな」と感じていた。露出の度合いが、太田の発想容量を超えていると思ったのだった。密度がものすごい薄まっていった感じがしていた。

しかし、それを乗り越えていったのは見事。過激だったり、飛んでいたりする発想を切り替えていき、はちゃめちゃなんだけどしょうもないボケをする方向性を見つけて、すごくうまく奈美を乗りこなしいていると思う。


ネプチューンは、ボキャブラが終わったら、だんだんと活躍が減っていくと思っていた。でも、これまた見事に良い意味で裏切られた。こんなに活躍していられるとは思わなかった。ホリケンや原田の自由すぎる動きは、いくら名倉のつっこみがあっても、世間は受け入れ続けないと思っていた。

ネプチューンは、ここを守りきって活躍しているのが本当にすごいと思う。それに、ホリケンがここまで受け入られている今の世の中は、捨てたもんじゃないと思う(^_^


ほかにも、海砂利水魚くりぃむしちゅー)や土田みたいに、スタイルが大きく変わって活躍している人たち。BOOMERやプリンプリンみたいに、昔のままで(かつ、そんなに活躍していない)人たちもいる。
※個人的には、底ぬけAIR LINEの古坂を観たのがいちばん衝撃があった。

なんというか、本当に、普通に同窓会みたいな印象なのかもしれない。僕自身は完全に第三者なのだけど、観客・視聴者は同窓生の一人のような感覚を憶えたんじゃないだろうか。


ひとつ微妙に思っていたのは、活躍の格差がけっこうわかりやすくとでていたこと。爆笑問題ネプチューンは、身なりからしてきれいだったし、扱いが別枠過ぎだった気がする。司会進行も交代で受け持っていたり、登場はかならず1組ごとだったし(他の芸人は、2〜4組ごとにまとめて登場)。
くりぃむしちゅーは今回出演していなかったけど、もしいたらどうなっていたんだろう。このクラスでの扱いがもう一組増えていたのだろうか。ちょっと興味あり。


なんにしても、長い年月を経てもなお、こうして番組に出演できているのはすごいことだと思った。かつ、いまでても面白いと感じさせられるのは、本当に素晴らしい。常日頃から活躍しつづけている芸人たちばかりみていると、ついつい忘れてしまう。でも、それほどに華々しいところだけが価値ではないということを、あらためて理解しておきたいと思った。



ボキャブラという企画の面白さ
当時のネタについて、名作集としてあらためて見直すことができた。見ていて思ったのは、「面白い」ということ。かれこれ10年以上経つのに面白いと感じたのは、ちょっと驚いた。

ひとつは、ボキャブラという企画のフォーマットがうまかったのだと思う。語呂合わせ的な面白さは、普遍性が高いということと、ボキャブラ箇所までのつなぎのネタの面白さ、さらにはネタ前の登場段階での振りやら、そこに至るまでのキャラ設定、芸人ごとのポジションと関係性、などなど。番組全体としてこの企画が面白くなるように、うまいこと要素が組みあがっていたように思う。

もうひとつは、当時のネタそのもののクオリティの高さ。
名作と呼ばれるものは、今見直しても面白かった。ボキャブラそのものの「語感」の面白さはいざ知らず、ネタ全体がうまくできている。
爆笑問題は、芝居がはじまった瞬間のつかみが抜群にうまい。一瞬に彼らの世界観に引き込まれる。
ネプチューンは、ホストのアキラが登場するまでの、ホリケンと名倉のあほなやりとりは、本編とほとんどまったく関係ない無駄なくだりなのに、かつ、なんだかよくわからない話をしているのに、面白い。

これは、今回出場した若手芸人のつくったネタからも感じた。すごく面白かったネタは、当時のボキャブラで評価が高かったであろう基準を満たすものが多かったから。
僕が個人的に最高と思ったのは、サンドウィッチマンだった。つかみから芝居の展開、落ちでの意外性とボキャブラ感のうまさ。どれも、かなり完璧だった。ボキャブラ芸人たちがうなっていた様子をみても、当時の基準を満たした上での面白があったのを強く感じた。





そんなこんなあって、3時間近くの放送、十分に満喫して楽しんだ。想像していた以上に爆笑できたこともあって、本当によかった。


そう思う一方で、「10年以上前の番組を、今みてもこれだけ楽しめるというのは、どうなんだろう」とも思った。

 ・この企画が色あせない程度の番組ばかりが放送されている?
 ・当時のボキャブラ芸人たちを越えない笑いがはびこっている?
 ・自分が当時の笑いの感覚を、いまだにひきずっている?

いや。今回に関してはこの3つのどれでもなく、
「この番組がそれほどまでに素晴らしく、かつ、今回はそれをより楽しめるように番組つくりが見事に行われた」
のだと信じることにしよう(^_^