ルミネtheコントバトル

MC:じゃぴょん
ピース /フルーツポンチ /犬の心 /ガリットチュウ /しずる /スリムクラブ5GAPアホマイルド増谷キートン椿鬼奴エハラマサヒロシューレスジョー /ジューシーズジャングルポケット /ライス /カナリア


ということで、5月一発目の観戦は、GWの最終日に開催されたこのライブ。


若手主体のライブは久しぶりなので、どんなものか探り探りでチケット取得&鑑賞にいってきました。さて、結果やいかに。



(1)オープニング
 MCのじゃぴょんが登場。観客に質問を投げるありがちなつかみでした。
 そういえば、昔はルミネのライブって、前説をやっていた気がするのだけど、ここ数年みてないな。前説があると、MCも多少やりやすくなりそうな気もするのだけど。どうなんだろう。
 ま、余談はこれくらいにして、本題に。


 まずは、簡単なルール説明。A〜Dの4グループに分かれて、トーナメント形式で対戦。各グループの勝者4組で、決勝を行うとのこと。組み合わせは以下のとおり。
 A:しずる/フルーツポンチ /ジューシーズジャングルポケット
 B:スリムクラブ椿鬼奴カナリア /5GAP
 C:犬の心 /ガリットチュウ/増谷キートンシューレスジョー
 D:ライス /エハラマサヒロアホマイルド /ピース


順番は忘れてしまった・・・(^_^;


予選は3分のネタ。3分を超えると照明で合図され、15秒を超えると強制暗転。
決勝は4分で、超えたときの対応は同じ。


審査は、観客のなかからランダムに選ばれた(らしい)21名の審査員が評価。色のついたカードをあげて、得票数の多い人が勝ち抜き。



以下、グループごとに感想。【】内は、個人的な点数(10点満点)。


(2)Aグループ
 フルーツポンチとしずる、という人気上昇中のコンビ対決。かつ、会場の声援からすると残りの二組の人気もあなどれない。
 ・フルーツポンチ【5】・・・・・・・ドラムの練習をする学生の風景。フルーツポンチならではの設定なのだけど、前半は野球部のネタを場面を変えただけだったので、ちょっと評価が下がった。
 ・しずる【7】・・・・・・・・・・・・・・・アウトローな人が殺される場面でのコント。無知な二人が「冥土の土産」「年貢の納めどき」といった言葉を転がして展開する。普段の学生コントとは違う感じのコントで、好印象だった。
 ・ジャングルポケット【3】 ・・アホキャラで歌を全力で歌うネタ。勢い優先で、ネタの内容も学園祭や文化祭で見かけそうな感じがして、評価が低くなった。
 ・ジューシーズ【3】・・・・・・・・・社長のバカ孫がやんちゃするというネタ。残りの二人が真面目に話し合っているシュールな世界を出そうとしていたのだろうけど、めちゃいけ系のコントの二番煎じという印象だった。

 この組は、接戦だったらしい。結果は、しずるの勝ち抜き。この結果自体は自分の感覚と同じだったのだけど、接戦だった(かつ、相手がジャングルポケット(?)だった)のは意外。



(3)Bグループ 
 じゃぴょんが「スリム倶楽部と鬼奴、ハスキーボイス対決」といっていたのが面白かった。

 ・椿鬼奴【6】・・・・・・・・・桃井香のライブ。痰を踏んじゃったから歌えない、ということではじまる。不条理感は鬼奴独特の雰囲気だった。何よりも、ネタが進むにつれて「ものまねじゃなくなってる」ことが面白かった。
 ・スリムクラブ【5】・・・墓参りで、死んだ父親と会話するというコント。ネタは、意外とオーソドックス。狙っていたのかもしれないけど、演技というか間がちょっと変な感じだったのが気になった。
 ・カナリア【5】・・・・・・・赤頭巾のコント。赤頭巾が「どうして〜なの?」をいろんなバリエーションで質問を重ねていくというもの。「どうして野比は剛田にやられっぱなしなの?」「それは、青いヤツが助けるから」という受け答えは、ベタなんだけど笑ってしまった。
 ・5GAP【4】・・・・・・・・・・警察官とあやしいヒーローもどきのおっさんのコント。不審者扱いされ、なんとかその場を逃げようとするドタバタ系。ただ、どうみても「ブーマー」とかぶっている印象をぬぐえなかった。


 ここの結果は、カナリアが勝ち抜き。鬼奴のネタは、好みの差がでやすいので、やむなし。



(4)Cグループ
 なんとなく変り種があつまった印象を受けたこの組。
 

 ・犬の心【5.5】・・・・・・・・マネージャの元恋人の先輩と、新恋人の後輩の会話。変なところで切れる後輩の描き方がなかなか面白い。何よりも、演技がうまい。もっと売れても良さそうな気がする。
 ・ガリットチュウ【4】・・・・ボインの女神。ボインにする神様の紺となのだけど、正直グダグダ。乳首を伸ばしたり、下ネタに入っていったのも失敗だったと思う。
 ・増谷キートン【6】・・・・・・「つくしんぼう」というフォークギターをもったシンガーのネタ。最初の半分くらいの時間を、普通に「戦争を知らない子供たち」を歌うことに費やした度胸が見事。そのあと、狙いかどうかよくわからなかった「聖飢魔?」の歌を間違って中断するところ。そして、最後には「サラリーマンがぶら下げる『た』のつくものは?」という質問をして下ネタでしめくくるという。面白かったけど、どうなんだ(^_^;
 ・シューレスジョー【5】・・会社帰りについてくる犬とたわむれる悲哀あふれるサラリーマンの一人コント。イッセー尾形的な世界観があってなかなかよかったけど、こういうトーナメント向きのネタではなかった。


 この組は、犬の心が勝ち抜いた。個人的にはキートンのネタをもうひとつ見たかった。



(5)Dグループ
 ライスは一度もみたことがなかったので、ちょっと期待をしていた。
 

 ・ライス【3】・・・・・・・・・・・・パシリのカリスマ的な先輩と後輩のやりとり。お決まりフレーズの言い方だけで笑いを起こそうとしているのかなぁ、と思った。ネタそのものの印象は残らず。
 ・エハラマサヒロ【4】・・・・スキャットマンのネタ。個人的には好きなのだけど、この舞台には向いてなかった。本人もいっていたけど、観客の層にもあってなかったと思う。ウケが帰らなかった分、本人のとまどいが表れていて、それがまた笑いにくさにつながった。
 ・アホマイルド【3】・・・・・・タランティーノをもじった名前で、全身白タイツの二人がいろいろとやっていた。シュールを狙ったのかもしれないけど、シュール以前に面白くなかった。
 ・ピース【8】・・・・・・・・・・・・役者での活躍を目指すの男性が、放火魔(らしき人物)を目撃するというネタ。又吉の放火魔的な雰囲気があまりにも見事で、かつ随所にでてくるひとつひとつのネタも外していなかった。


 ということで、ここはピースが勝ち抜き。




(6)決勝
 ・しずる【7】・・・・・・旧友の二人が、お互いをだましあい、裏の顔で「シメシメ」という表情を織り込んでいくというネタ。ベタになりがちなのだけど、ひとつひとつのネタと構成、芝居と雰囲気のつくりかたがうまくて、うまく面白く仕上がっていた。
 ・カナリア【7】・・・・チーズケーキーズというアイドルユニットのネタ。14歳のボーカルと、42歳のドラムというシュールな組み合わせ。そして、何よりも、ボンの女性水着(ワンピース)姿で出落ちレベルのところからはじまっていたのが、ずるいけど面白かった。途中、「女神様」へのお祈りのネタを織り込んだところも笑えた。
 ・犬の心【7】・・・・・・劇団「最悪」の舞台(劇中劇的な感じ)。二人の劇団員で芝居するのだけど、片方がものすごいアホなので、芝居どころではないのだけどなんとか芝居を進めていくという。これまたやはり芝居がうまくて、意外と難しいネタだと思うのだけど面白く仕上がっていた。
 ・ピース【8】・・・・・・「死んでる」姿につながるショートコント。ショートコントなのでこのライブでつかうのはどうかと思ったけど、面白かったから。冒頭の「あっち向いてホイ」で死んでるのネタでいきなりやられてしまった。面白かった。



 ということで、優勝はピース。これは、文句なしでしょう。
 面白かったのは、優勝の発表前に、しずるの池田が「いや、これピースでしょう」と結果を先にいってしまったこと。たしかに、カードを見渡すとピースの分が多かったのである程度想像はつくのだけど、観客席からみると、やはりはっきりとはわからないので、失言なのは間違いなし。
 ということで、ピース綾部から「説教する」とのお達しを受けていた。


 その後、告知関係が続いて、ここでも「僕も出演しているのですけど、先ほどの告知のときに触れられていませんでした」みたいな告知があったり(笑)


 あと、衣装を着替えていたスリムクラブの真栄田が、イエローモンキー系の雰囲気になっていてちょっと驚いた。



(7)まとめ
 いろいろとありましたが、全体からすると、消化不良。面白かったネタもあるのだけど、笑いの総量的には、平均的なライブよりも少なかった。及第点に達していなかったネタが多かったからだと思います。
 まあ、若手のネタをみるときは、それを踏まえて観にいかないといけないのかもしれませんが。


 ただ、それにしても、面白く感じなかった要因はけっこう問題だと感じている。それは大きく二つあって
  ・甘い甘いファン系の観客に迎合するネタをやっている
  ・特に、ウザキャラ系のネタに傾きすぎ


 どちらも、今の状況で短期的に人気を伸ばすのには有効なのはわかる。特に後者については、しずるやフルーツポンチなど、道に乗っている芸人も増えているから、後乗りしやすいと思う気持ちもわかる。
 でも、これだけ増えすぎると、他の芸人とかぶっている要素ばかりが目に付く。今回の芸人のなかにも、面白かったとは感じなかったネタについては、この影響が大きかったと思っている。



 僕はお笑いの世界に生きていないから気軽にいえてしまうのかもしれませんが、この傾向はきっちりと切り離れておかないと、あとですごく痛い思いをしてしまうんじゃないかと心配している。もうちょっというと、そういう思いをする芸人が増えすぎると、今後のお笑い会で面白い芸人が生き残っている量が減ってしまい、観客としての楽しみも減ってしまうんじゃないかと。


 これからも長い間、面白いネタを楽しみ続けたいと思っているので、芸人のみなさんにはいろいろと期待していますし、応援もしたいと思っています。