テラビシアにかける橋

子供の想像力のたくましさ。そして、想像力が、人生における山谷を乗り越えるときに必要な力であることを描いている。
いい映画だと思った。であるからこそ、気になったことが多くなってしまった。


・展開が不自然
 15〜20分くらいのストーリーをつくって、順番に組み合わせたようなつくりに感じた。これを90分強につめこんで、ストーリー間のつながりがとりきれていないような印象が残った。


・妄想と現実の切り替えがわかりにくい
 おそらく演出上の意図的なものだとは思うのだけど、観客の印象としては効果的ではなかった。妄想で出現してくるものが過剰にリアルなのだ(CGがリッチ)。境目がなくなることを主題にしたかったのであればかまわないけど、今回のような作品であれば、わかりやすかったほうが伝わると思う。ぼろぼろの布キレがうつって、「化け物だ!」といっているくらいでもよかったと思う。



あと、印象に残ったのは、末っ子のネイベル役の女の子の芝居。特に、バスに乗って「いたずらが成功したんだ!」ということに気づいたときの演技(表情)。演出のあざとさも感じられなくはなかったのだけど、それを差し引いてもいい芝居だったと感じた。


この映画が難しくなった一番の要因は、ターゲットがあいまいだったからではないかと思う。今の内容だと、大人にとっても子供にとっても、少しずつ不足感と過剰感を感じる状況なのではないかと思う。

宮崎映画のようにどちらも包含してしまうのもあるかもしれないけど、「夏休みの子供映画」という絞り込み方で作られたほうがよかったと思う。そうすれば、結果的に大人も楽しめる作品になっていたような。


と書いてはいるけど、この映画を見たタイミングが影響しているのも事実。スウィーニートッド、ラストコーション、母べえ、など、良作を見続けた合間にみたから。なので、書いた評は厳しいけど、印象そのものは悪くなかったことを補足しておきます。