ゲームの規則

ルノワールの作品。

浮気・不倫といった不貞を軸に、多くのキャラクターが複数の関係性を持ち合って、愛憎にもまれていく様子。これをうまいこと作りこんでいるという印象。
フランスの価値観なのか時代によるものなのか、いくつか「?」が浮かんでしまったシーンがあったものの、現代に通じる示唆のある作品だったと思う。この映画ほど開けっぴろげでない分、現代のほうがやっかいかもしれない。

偉業を達成した英雄と、セレブたちとの織り成す恋愛模様。かつ、それは不貞。
物語のスタート時点で、すでにどろどろとなっているところから始まっているのがうまい。かつ、ストーリーに表面化してくる内容は、最初は軽く、段々と重くするというオーソドックスなもの。今の映画だと、最初はもっと「はじまり」を描きたがるし、「過激」なものも早い段階から入れてしまう気がする。それは、観客が求めるからなのかもしれないけど、そうしなくても良い作品が撮れるということなのだろう。

正直なところ、この作品が最高です、とは言えるほど理解していない。ただ、もっといろいろと、映画や人生について理解が深まったころに、もう一度見てみた息がする。


それにしても。
昔の作品は難しい。情報量と展開についていけなくなってしまう。本当に余計なものを削ぎこんでしまうからだと思うのだけど、現代作品(特に、テレビ)を見ている人間にとっては、とてもハードルが高い。

この作品も例外ではなくて、冒頭からつまづきかけた。各キャラクターの人物紹介となるエピソードがほとんどない。ストーリーの中にちりばめられている。だからこそ巧妙ですばらしいのだと思いつつ、ついていけなくなってしまう。次々と人物が増えていくのだけど、つながりがわからないまま進んで、後になって「そういうことか」とわかる、というか。

あと、セリフもすごく筋肉質。遊びが無い。二人の会話であっても、脚本の勉強をすると必ず学ぶような原則が、本当にしっかりと守られている。
この状態に加え、「外人」で「白黒映像」で「外国語」で「セリフが早い」となってしまえば、もう・・・。


ただ、これは、自分の力不足・勉強不足からきているものだとも思う。映画を好きで、何かしら関わってみたいという気持ちがある人間としては、自然に受け止められるくらいにはなっておきたいところだ。