全然大丈夫

「映画好きの人が、その世界の中でつくった映画」という感じ。良くも悪くも、単館上映を想定した日本映画だと思った。


不条理が日常に溶け込んでいる様子を描くことで、オリジナルの世界観を描こうとしているのはわかる。でも、その描き方が、ありがちな気がする。ひとつひとつの小ネタが既往のものだとはいわないけど、その延長線上なのだ。


不思議なオブジェをつくっているホームレスと、それを支援するホームレス。興味をもってみている一般人。気がおかしくなってリハビリのために旅に出る父、などなど。キャラクター設定も、どうも「世界観」に縛られている感じがする。
要は「見ていて、押し付けられている」と思ってしまうのだ。


メジャー系の作品ばかりが良いものだとは思わないし、こういう世界観を目指した作品があってもいいと思う。荒川良々を主演にするのも、すごく好意的に受け止めている(ロードショーでは、なかなか難しいだろうし)。
ただ、やっぱり、この内容は僕が見たいものとはズレを感じる。もうちょっというと、世間に受け入れられにくいものだと思う。映画が好きな人同士で集まって、「こういうのもいいよねぇ」といいあっているのは、もったいない。


今回は、自分が勝手に期待を高めて観にいったこともあって、ちょっと厳しい評価を書いてしまったかもしれない。でも、本音でもある。「もっと広い範囲に理解されうる」と感じた作品だった。次作では、もっと楽しみたい。