ラスト、コーション

すごい映画。金獅子賞はだてじゃない。


何がすごいかというと、スケール。物語も、映像も、演技も。みな重厚感があった。

すべてのシーンに、ピーンと張り詰めた緊張感がある。不安感を表すものであったり、暴力的なものであったり、官能的なものであったり、たくさんの種類の緊張感を集めて積み重ねていったような映画だと思う。メインの役者人はもちろんのこと、美術も含めて、すべてに渡ってわずなか隙も無く演出し、構成したかのようだ。特に、「追う・追われる・追い詰める」「残虐的な殺戮」については、観るものの鼓動を制御するかのようだった。


そして、過激なシーンは、話題となっているだけあって見所のひとつだと思う。実は、作品を観る前は、あまり知らなかったので、見ていて度肝を抜かれた。R−15でも足りないんじゃないか、と思うくらい。もっと言うと、「撮影って、どこまでやっていたのだろう?」とも思った。


役者陣も半端じゃない。主人公クラスの面々は、みな端正な顔立ちをしている。
タン・ウェイなんて、童顔っぽさもある美人。これであの体当たりのシーンを演じられてしまったら・・・。あのまつ毛のメイクが顔にあっていて、すごくかわいらしさのある美しさだったと思う。
ワン・リーホンは「和泉元彌をすごくしっかりさせた」という感じの顔立ち。それが妙に印象に残ってしまって、他の記憶は薄い・・・。


ちなみに、物語の舞台・背景には、「日本人による占領」があって、ちょっと痛みのある映画でもある。当時の状況をよく知らないので、ひとつの物語としてみることができてしまうのだけど、ときおり表れてくる日本語のセリフをきくと、ちょっと複雑な気持ちになった。