カンナさん大成功です!(字幕版)

なかなか良かった。
軽い感じ(映画なんだけど、TVドラマ的な雰囲気があるというか)で、小ネタもそこそこ面白く、でもジーンと来るものがある。まわりの観客(特に女性)からは、ちらほら「笑い」や「泣き(鼻をすする音がきこえた)」が起きていたのが印象に残りました。僕はなくところまでは行かなかったものの、うるっとするぐらいまではいきました(^_^


感心したのは、伏線を含めて、けっこうしっかりとストーリーを練っているところ。原作モノって、ご都合主義的に途中をすっとばされてしまうことがあるのだけど、整形に至るまでの流れからラストに向かうまで、不自然に感じるところはあまりなかった気がする。
ただ、冒頭の占い師とのやりとりのように、「意味はあるのだけど、本筋とはあまり関係がない」ような余分なところが入っていたのは惜しい。中盤もちょっと中だるみしていたところもあった。歌手デビューが決まってからの幸せな(というか、ちょっとぬるい)あたりは、短くても良かった。嫉みをたもれていく関係性が段々と強まっていく様子を表したかったのはわかるのだけど。


あと、驚いたのは、主人公の女優(キム・アジュン)。主人公が「整形をして美人になった」と自他共に認める設定なのだけど、まったくひけをとってないと思った。写真の印象と、映像の印象がちがったので、ちょっと驚いた。 以前、友人が「猟奇的な彼女」にえらいはまっていたことがあったのだけど、そういう感覚に近いかも。自然で、やわらかく、でも凛とした、そんな表情のある美しさをもっていると思った。


それにしても、「カンナさん大成功です!」って、せっかく原作が日本のマンガなのに、韓国でこんな風にうまいこと映画化されてしまうのは、ちょっと惜しい。オールド・ボーイのときも同じように感じたのだけど。う〜ん・・・。



そして、もうひとつ印象に残ったのが、映画「カンナさん大成功です!」のなかででてくるセリフ。 失恋に傷ついた主人公が整形をしにいったとき、医師が話の冒頭でいった言葉。
「傷ついた魂を治すのが私の仕事です」

このセリフ自体は、映画の中ではあまり重要な意味合いはないのだけど、とても印象に残った。なんとなく、自分の志向に似通った表現だと感じたのだった。そういう感覚があるのは気づいていたのだけど、なかなかよいことばがなかった。そこに「いい言葉を見つけたかも」と思った。

今は、この言葉ほどの仰々しさは持ち合わせていないけど(^_^;
ただ、ふっ、としみこんできた。

少し、自分の「道」がクリアになってくるような感じがした。