リエンジニアリング革命

もう15年近く前に流行した本。
何年も前に、とある方から「プロジェクトマネジメントを学ぶなら、BPRを学ぶといい」といったことをいわれたことがあった。その後、しばらく該当する本を手に入れられずにいた。が、昨年、該当する書籍を手に入れることができた。
しかしながら、すぐには読まずに、放置していた。




(1)内容
リエンジニアリングというコンセプトの本質を解説している。
全体を通じて貫かれているのが「一からやり直す・作り直す」という考え方。「根本的・抜本的・劇的」といえるほどの変革を生み出すことが、リエンジニアリングである、というもの。改善を通じた変化を積み重ねることではない。
また、プロセスがリエンジニアリングされると「仕事は狭い範囲の業務中心のものから、複数の職務にわたるものへと変わる」とされている。これによって、組織は仕事の単位(機能別部門からプロセスチーム)・職務(単純から多次元)・役割(管理から権限委譲)等々の変化を核にすえた構成・文化の醸成が必要となっていく。
こうした変革を生み出すために、情報技術の活用が必要となる。ここには、「必要から生まれた技術」以上に、「技術ありきのリエンジニアリング」があることが重要。
リエンジニアリング(リデザインと実行)に取り組むためのプロセスについても、ポイントや注意事項が盛り込まれている。さらに、それらに関する具体例として複数者のケースを紹介する補足も加えられている。


(2)書評
リエンジニアリングとは何か、ということを理解するのには、やはり最適だと思う。プロセスコンサルティングに関する書籍はいくつかあり、内容によって(プロセス分析に使用するツールの具体的な紹介、等々)は、本書よりも優れたものもあると思う。しかし、本質を理解するという意味では、本書がいちばんだと感じた。

一番重要であることは、本書全体に通じて貫かれている「いちからやり直す」という方針。これをいかに徹底できるかに尽きると思う。これは、「それを遣り通すことができる人材」を注ぎ込み、コミットメントをもって実行しきることができるようにすることに直結する。本書では、解説から事例にいたるまで、この姿勢をもった人物たちが完成に導いている姿、またそうでない人物では失敗を導きやすいと言う示唆を記している。

文庫化されているため安価で手軽に読みやすい外観をもっているが、内容は十分にある。特に、BPRの流行が過ぎた後に社会人になった世代にとっては、本書を通じたリエンジニアリングに関する学習は、とても効果があると思う。このコンセプトが作られたことで、さまざまなスキル(本)が開発され、浸透してきたと思われる。原点を学ぶことで、これまでに習得したことをあらためて見直し、より有効に実務につなげるきっかけとできそうな気もする。

最近、業務分析等の書籍を読んでおり、その一環として本書を読んだ。これによって、事前に読んでいた書籍に対して新たな視点での理解を得ることができたように感じている。



(3)キーワード
「プロセス」「インサイダーとアウトサイダー」「最低75%の時間をリエンジニアリングに割かなければならない」「リエンジニアリングチームは3ヶ月程度でできる仕事ではない」「もっと賢く働いて欲しいだけであって、もっと熱心に働いて欲しいといっているのではない」「コンセプトは実現されなければならない」「リエンジニアリングは、決してボトムアップでは起こらない」「会社が改革綱領をはっきりと述べてからリエンジニアリング去れたプロセスを現場で実行に写すまでに、12ヶ月あれば十分」