三谷幸喜

ドラマ・映画関係の人物を思い浮かべたとき、僕の頭に浮かんでくる筆頭なのがこの人。
人生のなかで最も印象深く刻まれているのも、三谷作品の「王様のレストラン」。かれこれ15年弱も経過するというのに、いまだにベスト作品として残っている(三谷幸喜本人がどう思うかはおいておいて)。「新撰組」もかなり好きですが、全編にわたってOKしかない出来なのは「王様のレストラン」だけだと思うのです。

で、先日、三谷監督最新作品「マジックアワー」が公開された。
僕も、さっそく観にいってきた。感想については、あらためて書きます(^_^


この映画の宣伝を兼ねて、あらゆるメディアにでまくっている出演者陣と監督本人。三谷監督は、必ず監督本人が相当にでまくる。他の監督でそういう人は、あまりいない気がする(松本人志みたいに、芸能人がみずから監督したとかでないかぎり)。


それはいいとして、おかげでいろいろと三谷幸喜という人物像がわかる。特におもしろいのは、映画作りの現場の様子がきけるときと、作品作りにおける苦労。ちょいちょいはさんでくる小ネタも嫌いではないですけど(^_^


いっとき、三谷幸喜にはまったころ(王様のレストランのあと、しばらくした頃)、けっこういろいろと調べた。三谷関連書籍を手に取り、順番に読んでいった(この頃購入して読んだ「Now and Then」という書籍で、宣伝時に語られる過去のエピソードは、ある程度知っていたりする)。

当時は、東京サンシャインボーイズが休止状態に入ったあとで、ドラマか本でしか情報が得られなかった。舞台もあったのだけど、貧乏学生だった上に、あまりにも馴染みのない場所だったことにちょっと怖さもあって、足を踏み入れることは無かった(とはいえ、チケットが数分で売り切れるような人気ぶりだったそうで、行こうとしても見れなかったかもしれない)。

その後、ドラマも映画も観てきました。作品によって好みの度合いは差がありますが、そうはいってもクオリティの高いものが並んでいると思います。


そんな感じで三谷作品に傾倒していった自分ですが。
ここ最近のテレビ番組や書籍で得た情報を通じて、なんとなく親近感や共感が強まった。

・人と集まらない
 食事や打ち上げに、ほとんど行かないとか。今回の映画では打ち上げには参加したらしいのだけど、「珍しい」といわれたとのこと。でも、だからといって誘われないのは嫌らしい。誘ってもらって断るのがいい、と(笑)。
 あと、家にも人をあげないとか。そもそも家に呼んでもらったことがある人が少ないそうで。ココリコの田中が数少ない該当者らしいのだけど、玄関の入り口で用を済ましてそのまま返されたとか。

 僕はそこまで極端ではないつもりだけど(^_^;、なんとなく気持はわかる。三谷監督がどういうつもりでそういう行動をとっているかはわからないけど、結果的に似たような


・怖がり
 自分の作品に対して言葉をかけられると、ネガティブにとらえてしまうらしい。「あのシーン、良かったよ」といわれると、「それ以外のシーンはだめなんだ・・・」とか。
 過去に自分が作ったものも、ほとんどみないとか。観ていると、直したいと思うことに気が向いてしまうかららしい。

 僕も自分の仕事について、似たように思うところはある。自分が担当したシステムを面倒みないことは役割上できないのだけど(^_^;
 ただ、面倒みているなかで、常に「あのとき、こうしておけばよかったなぁ」と思うことはしょちゅうだし、たくさんある。それは、改善・向上の機会でもあるのだけど、そうはいっても心地よいものでもないのです。


・むちゃぶり
 戸田恵子に「鼻から牛乳出せます?」と話をふっておいて、いざそのときになったら全部なしにしていたりとか。役者やスタッフに対する注文はけっこう多いらしい。
 僕自身はそうではないと思っているのですが、一緒に仕事をしている面々からは、そう思われているかもしれないなぁ、と思ったり。




いっぽうで、これはやっぱり違うな〜、と感じたこと。

・緻密
 まわりの人々に注文が多い一方で、それを受ける人々は不快に捉えているわけではないらしい。少なくとも、それだけの注文ができるほどに、頭の中にきちんとした完成図面ができあがっているのだな、と感心させられるとか。
 雑誌のインタビューで、撮影監督だか誰かが「黒澤明と同じような」といった表現をしていた。

 僕はスケッチを書くのは比較的得意なほうだと思うのだけど、詳細に落としこまれたレベルまで描いておくのがけっこう苦手。



・視点
 クリエーターの資質で最重要なものだと思います。さすがというほか無く、自分はかすっているとすら思えないくらい。
 印象に残ったのは、糸井重里との対談記事。糸井重里が「テングザルは、『オレの鼻、面白いだろ』という目をしていないから面白い」という話をもちだして、三谷幸喜の資質を表現していた(この人も視点は抜群だと思う)。三谷幸喜もこの話の本質をさっと捉えつつ、その上で「でも、鼻が面白いだろ、といった上で笑わせられるようになりたい」と返していた。

 

・好奇心
 おそらく、この人は好奇心の塊。それこそ、子供のときから強かっただろうに、それをそのまま(かさらに膨らませて)大人になっているんじゃないかと。
 隣にDAIGO(竹下元首相の孫で有名な人)が座ったとき、最初は怪訝な感じだったのに、DAIGOのコメントを聞くたびに興味津々な感じになっていったり。
 マジックアワーでは、映画のスタッフの姿がかなり細かくかつクローズアップされて描写されるのだけど、これらもこの人の好奇心がもととなって(尊敬の念がこもっていることも含めて)のことだと思う。

 40を超えてなお、あれだけの好奇心を持ち続けていられるだろうか。もっというと、今の時点でも十分に負けていると思えるくらいなのに。



いろいろとありますが、なんだかんだいって、僕はやはり三谷幸喜を尊敬しているようです。そして、作品も好きです。
でも、同級生に三谷幸喜がいたら、すごく仲良くなっているか、お互いにけん制しあうか、どっちかなような気がします(^_^;