桑田挑戦記

元巨人の桑田がメジャー挑戦したときの密着取材したドキュメンタリー。
印象に残った場面を二つ書き残しておこうと思った。

■突然の出来事への対処の仕方
シーズン前、マイナーリーグのキャンプ中でのこと。
前日の夜に、急遽「明日の朝投げるか?」と連絡が入ったらしい。
そういうことってあるものなのか、と同行ディレクターが尋ねてみると、桑田はゆったりと笑顔で語った。
「いろんなことを経験するんですよ」
「したこと無いことをトライしてみるんですよ」
「それで良いか悪いか分かるじゃない」


■不遇への向き合い方
メジャー昇格判定の最終段階近くで起きた、審判との衝突事故。しかも、たまたまアメリカまで応援に来ていた家族の目の前で。
右足靭帯断裂という事態になり、記者たちのインタビューに答えた。
「野球も人生も一緒。何が起こるかわからない」
「これをプラスに変えていかなきゃいけないと思うし」
微妙にくもった感じはあるものの、わずかに笑顔を見せてもいた。

そのあと、自宅で個別にインタビューを受けたときには
「人生もそんな悪いことばっかりだよぐらいに思っておけばいいんですよ。いいことがあったらラッキー、いいことがあったと思ってるぐらいでちょうどいいんじゃないですかね」
と。家族にいろいろと世話になった様子を含め、楽しそうにうれしそうに語っていた。



桑田は僕が小学生の頃、甲子園で大活躍していた。
ドラフトの流れからヒールっぽく扱われて、不動産関係のスキャンダルなんかもあって、僕もあまりいい印象ではない時期があった。

でも、桑田の人間性(野球への真摯な向き合い方や、清原を含めた関係者への心遣い、等々)が表にみえるようになってきて、印象はまったく変わった。
それと、桑田道のようなストイックな印象が強かったのだけど、今回のVTRを見て、ポジティブな姿勢もすごく強いことがわかった。

何かを乗り越えて活躍している人(僕はこういう人が「強い人」だと思っている)は、ものごと(特にネガティブな出来事)にポジティブに向かい合うことができるのだな、と思った。その上で、楽観的な状況に対しては、ある種ネガティブにも思えるようなストイックさで取り組む。


桑田と同じくらいの感覚を持つのは難しいのだろうけれども、少しずつ、そういう取り組み方ができるようになっていきたいと思った。